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前回のブログで激推ししていた映画「機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ」がとうとう公開になりました!
初報では2020年7月23日公開予定でしたが御多分に洩れず延期になり、2021年5月7日に変更になったものの追い討ちをくらって再度の延期、しばらく目処が立たなかったのでヤキモキしていましたが、とうとう先日6月11日から全国ロードショーとなっております。
公式広報も大変そうで見ててハラハラしました。無事に公開されてよかったです。
私はガンダムファンクラブなるアプリ(月額600円で大抵の過去作品が視聴可能)やYoutubeの公式チャンネル「ガンダムチャンネル」で過去作品を復習したり、原作小説で予習したり、ガンダムカフェで再現メニューを食べたりして待っていました。あとなんでかわからないけど諏訪部順一が歌ってる他アニメ作品のキャラソングとかを聴いてました。本当になんで?

その結果

初日に2回、翌日もう1回鑑賞しました。
同時発売のBlu-rayも劇場限定版(過去イベント映像とサントラCD、原作小説上巻、小説上巻の朗読CD6枚組が付属)を入手済みです。
原作小説、従来のスニーカー文庫と、映画化に当たって発行された新装版を両方買ってしまったので、これで3冊目になってしまった。

公式HPのどこを見ても見当たらないのですが、ニュースサイトなどによれば、閃ハサ映画は3部作らしく、1作目の今回は、原作小説が上・中・下の3部構成になっているちょうど上巻が相当していました。場面をひとつひとつ見ていくと省略・割愛されているシーンも結構ありましたが、物語の骨子に至る部分は過不足なく、むしろわかりやすく整理・再構成されていて素晴らしかったと思います。もっとも現時点でまだ1/3なのでこの後どうなるのか次第で評価も変わってしまいますが…個人的には2部目もかなり期待しています(今日読んだ関連記事では2作目の公開時期は未定とのこと)。

ここまで前置きです。
以下、原作小説や逆襲のシャア他関連作品全般のネタバレを含む感想です。
原作小説の刊行は30年前だし、物語性を排除して味わうビジュアルやサウンド表現も非常に質が高いので、オタクの感想で価値が損なわれることはないとは思いますが…念のため。
Twitterでぐちゃぐちゃ言ってたことのまとめ的な部分もあるので、フォロワー諸氏にはもう読んだ内容かもしれません。
あと、閃ハサの感想と見せかけて読み返したら逆シャアの話ばかりでした。よくわかりません。

***

まず、原作小説の冒頭にある著者・富野由悠季の言葉について。
「言葉というものは、多重性と曖昧さをもって、真実を伝えることはない」
今から小説が始まるぞというところでこんなこと言う人います…?
しかし、オタクとして思い当たる節がないわけでもないというか。
例えば私は宇宙世紀で言えばアムシャアのオタクなのですが、「アムシャア」という言葉では含む意味が多すぎてなのか特定できないと思いませんか?
ここから多重性と曖昧さを排除するとしたら、「原作通りのアムシャア」になるでしょうか。
アムロとシャアはセックスとかしないし…2人は敵対して共闘して最後にまた争って共に散るだけだし…。
シャアは1人ではどこにも行けなかったから、アムロが連れていってあげたんだよ(ぐるぐる目)。
……しかし、果たしてこれで本当に真実私の意図するところが伝わっているのでしょうか?
富野が言っているのはそういうことだと思っています。
真実はわかりません。

初っ端「アムロとシャアの意思を受け継いだ青年」と呼ばれているのが、今作の主人公のハサウェイ・ノアです。
ハサウェイは、もっとも有名なガンダムパイロット、アムロ・レイの上司であるブライト・ノアの息子という立ち位置で、機動戦士Zガンダムから登場します。
さて、ハサウェイはアムロとシャアから一体何を受け継いだのか?
逆襲のシャアのアムロとシャア、ハサウェイと、閃光のハサウェイでのハサウェイについて確認していきましょう。

https://youtu.be/qKNCm59AoLc

冒頭15分ではあまり逆シャアとの繋がりは見えませんが、12:15頃にハサウェイが幻聴する声は、12年前のシャアの反乱時に失った片恋の少女クェス・パラヤを想起させます。

U.C.0093、人類は宇宙空間に進出し、居住するようになってからすでに1世紀近くが経過していました。地球を離れ、過酷な環境で暮らす人々の中で、これまでは使うことのなかった脳の機能を使うようになったことで、例えば他人の心が分かったり、未来予知のようなことができるなどの新しい能力を獲得する者が現れました。彼らはやがて「ニュータイプ」と呼ばれるようになります。
クェスは地球生まれ地球育ちにもかかわらず、上述のような素質があり、地球連邦政府高官の父親は彼女を持て余していました。

その頃、しばらく鳴りを潜めていたシャア・アズナブルが宇宙に住まう人々(スペースノイド)の代表として立ち上がり、ネオ・ジオン総帥として地球連邦政府に宣戦布告を行います。かねてより地球連邦政府は人口爆発による環境破壊や食料問題の解決策として宇宙移民を半ば強制的に実行してきましたが、政府の閣僚、官僚やその家族といった特権階級の人々は相変わらず地球にとどまったままであり、その生活に必要だとしてさらに多くの人間が居住を続け、地球を汚し、あまつさえスペースノイドなど眼中にないかのような政策をとっているため、スペースノイドと地球人の関係は険悪なものとなっていました。
シャアは地球に残るすべての人間が宇宙へと住まいを移すことで、地球人とスペースノイドの垣根を無くし、諸問題の解決をはかること、また2勢力の対立ひいては戦争を絶対に起こさないようにすることを望んでいました。
クェスの父親は、そんなシャアと政治的な会話を持つため宇宙に出張することになり、クェスもこれに同行します。
一方のハサウェイは、宇宙で艦隊司令を執る父親とは離れた地球で、母親と妹と3人で暮らしていました。しかし、シャアの宣戦布告を受けて地球にとどまることは危険だと判断した母親の手配で宇宙へ上がり、父親と合流する手筈を整えます。
その宇宙行きのシャトルの中で、ハサウェイとクェスは出会うのです。

ハサウェイはシャアの主張を我が事として受け止めることはできませんでした。ハサウェイには、スペースノイドが地球から受けた仕打ちとそれに対する感情を理解できていないのです。つまり、この時点でハサウェイにはシャアの意思(思想)を受け継ぐ土壌がないわけです。
しかし、クェスはシャアの、スペースノイドの悲願を理解できると言い、地球という惑星から宇宙全体を治めようとする父親ひいては地球連邦政府のやり方に異を唱えます。
その結果、クェスはシャアの元へと身を寄せ、地球連邦と敵対する立場となってしまうのでした。
クェスの離反を止められなかったハサウェイは、それでもなんとかクェスを取り返したいと望みますが、軍人でもない一介の少年にできることはありません。
やがて連邦軍とネオ・ジオン軍は戦闘状態に突入します。
アムロ・レイはパイロットとして出撃しますが、当然ハサウェイに手解きをすることもありません。アムロから意思を受け継ぐ機会もないわけです。
話はそれますが、アムロがシャアを止めようとするのは、義理のようなものだと私は思っていて、シャアの考えが誤っているからとか、地球を守りたいからとかよりはよっぽどシャアに同情している様子が作中からも伺えます(「シャアはオレたちと一緒に反連邦政府の連中と戦ったが、あれで地球に残っている連中の実態がわかって本当に嫌気が差したんだ」は私が逆シャアの中で最も好きなセリフのひとつです)。だからネオ・ジオンと対立するアムロの感情の動きには、そもそも受け継ぎ得るような意思が見られないんですよね。

クェスはシャアの元でパイロットの訓練を受け、MS(モビル・スーツ、人型戦闘兵器)を与えられ、戦闘員として戦場に出ます。クェスは従来持っていたニュータイプの素養をパイロット特性として発揮し(例えば未来予知で命中&回避にバフがかかる)、戦果をあげていきます。
戦況は混迷に至り、ハサウェイはとうとう空いたMSを見つけて乗り込み、戦場に飛び出していきます。
強大なMSを操るクェスに真っ向から語りかけ、地球連邦側に戻ってくるよう説きますが、クェスは聞く耳を持ちません。
そんな中、地球連邦サイドからクェス機に向かって砲撃が放たれます。クェスは、このままでは自分の機体にしがみつくようにしているハサウェイ機に当たってハサウェイが死んでしまう様子を幻視します。
シャアを捨ててハサウェイの元に戻ることはできなかったクェスですが、ハサウェイを見殺しにすることもできず、結局彼女はハサウェイを庇って被弾、命を落とすことになりました。
これが彼のその後の人生に暗い影を落とすことになるのです。
さらに、ハサウェイの一連の行動は明確な違法行為、懲罰対象でしたが、父・ブライトの動きもあり、「敵機を撃墜した功績」として不問に付されることとなります。
従って、地球での彼の名は、シャアの反乱時に軍人でないにもかかわらずMSに搭乗し敵機撃墜を果たした、勇敢で優秀な少年のものとして受け入れられることになったのです。

説明が長くなりましたが、そういう経緯があったハサウェイの心の中にはまだクェスがいるのだ、その声によってハサウェイは導かれているのだ、とわかるのが先のシーンなわけです。
当時のハサウェイは、もちろん幼かったこともあり、思いついたことをがむしゃらに達成しようと頑張るんですよね。その結果、片想いしていた女の子の命を奪うことになってしまって、それで閃ハサの彼は、どうやら意図的にそれを抑えて暮らしている。しかしふとした瞬間に「それ」が表に出てしまって、常にそれに後悔してるんですよ。
15分映像で「やっちゃえ」「やっちゃいなよ」の声を受けて検討する間も無くテロリストたちの制圧にかかるシーンも、これによってギギにハサウェイこそがマフティーであると確信を持たせることになり、そのせいでその後の作戦に狂いが生じていく(そしてケネスもハサウェイの正体に気づく)。
自分の正体を知ったギギを放置することもできず、ギギの物言いに流されるようにホテルの同室で宿泊することになり、そこで目の当たりにしたギギの振る舞いに古傷を抉られるような気持ちで「クェス・パラヤと同じか…」などと嘆く羽目になる。
ハサウェイが軍の監視下から逃れて仲間と合流するための陽動としてホテルが襲撃されるが、市街地でMS戦が繰り広げられている中をギギと逃げ回りながら、怯えて取り乱すギギを捨て去ることができずにその機会をふいにしてしまう。
……。

見たとこ全部ギギ≒クェスに囚われてるせいじゃないか……。
市街地で戦闘から避難している中、合流するはずだった味方の女性に「あんたの悪いところが出てる気がするよ」って言われちゃってるしな。
でも、その「悪いところ」が明確にある感じ。自覚もしているのに手放せない。そのどうしようもなさは、言い換えると非常に人間らしくて、彼を偶像にさせない砦としても機能しているような気がしています。また、それによってマフティー殲滅を任務とするケネスはハサウェイ自身に好感を持ち、正体を知ってなお敬意の対象と並立した対立関係になれたわけです(これは原作小説の中・下巻の範囲だけど)。

さて、逆シャアの終盤で、シャアが地球に落として地球上の人類を滅亡に追い込もうと画策した隕石(しかも核兵器を搭載している)を、アムロはたった一機のガンダムを駆って大気圏突入から阻止しようと奮闘します。隕石は地球の重力に惹かれてどんどんその距離を縮めていきます。誰もが不可能だと思うような絵面。そんな中、アムロの行動に心を動かされた他のMSパイロットたちが、連邦もネオ・ジオンも関係なしに集い、アムロと共に隕石を地球の重力の及ばぬ範囲へと押し返す戦力として加わります。
集った人々の想いは、ガンダムを構成する新物質「サイコフレーム」の共振を呼び、光となって隕石を包みます。サイコフレームは人の意思を具現化する力を持つとして研究が進められていました。それがこの期に発動し、隕石が地球に落ちるのを防ぐ力となったのです。
そしてアムロとシャアは消息を絶った……。

というところで、改めてアムロとシャアから受け継ぎうる意思について考えましょう。
シャアは、隕石を落として地球上の人類を掃討してでもスペースノイドを救いたかった。アムロは、シャアの暴挙から地球とそこに住む人々を守った。
シャアは、人間に絶望していた。アムロはシャアの絶望を知った上で、だからこそ人々に希望を見せなければならないと語った。
ハサウェイ、この2人から何を受け継げるというのだ。そもそもハサウェイはこの口喧嘩(マジで口喧嘩)を聞けるところにはいないからシャアの絶望もアムロの救いの手も知り得ないのに。

なんだろうな。初志貫徹するところか?

視点を変えて、その意思を継いだハサウェイ=マフティーがやっていることを見てみます。
反地球連邦組織マフティー・ナビーユ・エリンは、地球連邦政府に対し、地球環境を守るためすべての人類が地球を離れる政策を採るよう要求しています。しかし政府がこれに応えることはなく、「地球に住む」特権が世襲によって着々と引き継がれている始末です。マフティーはそんな特権階級の人々の「粛清」を実行します。危機感を抱いた特権階級=地球連邦政府閣僚らは、地球でマフティーに対抗する術を練るべく会議の開催を決定します。当然、その情報を掴んだマフティーは、粛清対象が一堂に会するこの会場への襲撃準備を始めるのでした。

守りたい対象は異なるものの、要求としてはシャアの反乱時の主張と似たところがありますね。
手段はいずれもすべての人類が地球を出ることです。
しかし、予告映像でもハサウェイがしばしば述べている「すべての人間が地球に住むことはできない」は果たしてシャアの、あるいはアムロの思想だったでしょうか?
シャアとしては、地球のことなんて知ったこっちゃないわけです。何しろ核爆弾を叩きこもうとしてるくらいですからね。
アムロは地球連邦軍として地球に籍を置いているわけですから、そこに住む人にどうこう言う権利はほぼないです。自分だってそのうちの1人なわけですからね(逆シャア時点では宇宙勤務が長くてほぼほぼ地球にいませんが…)。
また、シャアが主張したスペースノイドの権利について、ハサウェイが触れることはありません。
それは、ハサウェイの地球での役割が植物監査官だからかもしれないし、マフティーという組織の黒幕(作中で正体が明かされることはない)の思想によるところも大きいのかもしれませんが、とにかく目的がシャアともアムロとも異なるわけです。

ハサウェイはケネスやギギと別れ、マフティーの基地に戻ります。そこで明確に「僕は代わるよ」と心に決めるシーンがあります。ハサウェイ・ノアがマフティー・ナビーユ・エリンのエースパイロットに切り代わる。
そのとき、彼は心の中で、自分の今までの過ちを振り返って「そうだねクェス」と呼びかけるんですよ…。
お前、結局クェスなのか!?!???!?!!?
逆シャアでは、クェスは最初同じニュータイプと目されるアムロに目をつけ、親しくなろうとするが思うようにいきませんでした。そして、それへの反目の気持ちも手伝って、シャアに鞍替えするのです。また、そもそもクェスがアムロやシャアに求めていたのは父性だと言われています(政府高官の父親はクェスに理解がなく、愛情を注ぐこともなかった)。
それはハサウェイには逆立ちしても与えることのできないものでした。
そんな状況で永久に失われてしまった女の子。理解も愛も永遠に与えられず、もたらされない。
過ちと後悔の行き着く先。
アムロやシャアをたどることで、クェスに至れると思ったのだろうか?
シャアはスペースノイドを救いたかった。アムロは地球と、そこに住む人々のことも守りたかった。
ハサウェイにとって、地球を守ることができれば、クェスを守れなかった過去の自分も救われるだろうか。

いや、ハサウェイ、何かを守る意思ならまずお前の父親の背中を見ろ……!

お前を守り切ったブライト・ノアを見ろ!
物のわかったような顔で「父には苦労をかけました」とか言っている場合では…ないだろうが…!!

以上、ハサウェイがアムロとシャアから何を受け継いだのかに関する感想でした。
もうひとつ、別の重大な部分についても考えていることがあるので、そちらに関してはまた後日まとめられたらいいかなと思っています。

あけましておめでとうございます!!!!! 今年もよろしくお願いします!!!!!!!!!
2021年に入ってから2種類の新刊が出たので、ご案内します。

①峨マル
「化物の心臓」全年齢32ページ
サンプルはこちら(pixiv)
通販はこちら(booth)
原作最終話でアメフト継続組がどかどか出てきてどんなチームに入ったかが明かされていく中で、世界大会メンバーに一軍扱いで選ばれておきながら姿を現さなかった男がいるじゃないですか…と定期的に思い出しては苦しんでいるので、その辺りの感情をこねて丸めた本です。高校卒業後の本はすでに一冊あるんですけど……それとはまた違った感じでまとまりました。
どっちにしても最終話にいない=アメフトを続けていないという仮説は成立の余地があると思うので、それを採用しています。その上で、別の道を自分で見つけて歩んでいくパイオニア精神の持ち主として描かせてもらいました。原作でも自分が決めた道を走り抜けることに、それがどんなダーティなものであっても躊躇がなかった男であり、私もそういうところが好きだからです。
そして峨王も多分そういうところを好いてくれてたんじゃないかなと思っています。
そういう本です。

②鷹鴉
「孵化する日5」全年齢40ページ
サンプルはこちら(Pixiv)
通販はこちら(booth)
長らく1人でこねくり回していた蒼炎以前の捏造設定全部のせ本がまとまりきりました! お付き合いいただきありがとうございました!!
これが描きたかったんだろうなという部分を感じていただけたら…というのが烏滸がましくもささやかな願いであります。
自分たちは馴れ合わなくてもわかりあわなくても、自分以外の人々が共存の道を選ぶ妨げになってはいけないというのが、王様と元王様の辛いところよね…という感想です。
しかし暁のエンディングでその選択にたどり着けたティバーン、すごいな……。暁の前半くらいまでは結構ラグズっぽさが目立つというか、感情的に見える面もあって(蒼炎のラグズ会談のあたりとか顕著だと思う、もちろん煽った奴がいるわけだが……)、怒りに任せた処断を下す可能性もあったと思うんですよね。
でも3部終章で人々が石になってしまって、解決の糸口をもつサナキに連れ立ったネサラと再会して、そこで彼の「今は休戦させてほしい」旨の願いを飲んだのは、それまでのティバーンの振る舞いからは一線を画すものだったのではないかなと思いました。
とはいえ、作中ではティバーンもネサラもメインキャラではないので(モブでも決してないが)、なかなか為人を掴むのは難しいと常から思っています。
その辺りの、いわゆる解釈の一端として、お楽しみいただけたら幸いです。

***

さて、本日3月29日が何の日か、ご存知ですか?

そうです、声優・諏訪部順一の誕生日です……おめでとうございます……。
PVでめちゃくちゃ顔が…好みすぎる…!と思って詳細探ったらCV諏訪部だった時の気持ちを察してください。
そういう状況です。ありがとうございます。
ていうか見てよほらこの…デザインを。

顔に轢かれて声で挽かれて乗馬鞭でしばき倒されて、ざこちゃんは立派な魚肉ソーセージになりました。
主人公に共感して寄り添ってくれそうな若々しいお兄さんの諏訪部順一って心当たりが…ありすぎるけど、ケネス・スレッグは胡散臭くないので大丈夫です!(なんの話?)
このPVとデザイン画みて丸腰で劇場に行くのは絶対に無理だと思って原作小説で予習したので死角はなしです。死角はないですが、普通〜に推せる男でした。
何がいいかって、「助平根性」抱えてるって明記されてるんですよね…。あと、金髪の女が好きとか、作戦前に基地に女連れ込んでセックスしたとか散々書かれてます。あとなんかそういう下品な話題に巻き込んでいい存在としてみなされてるっぽい描写も……。
それで主人公やヒロインには上述の頼れるお兄さんとしての振る舞いをしつつ。
さらには、軍の指揮官としての立場があるのですが、そこでは結構獰猛な顔も見せるんですよね。

捕虜の扱いさあ〜〜〜〜〜〜〜(悲鳴)(原作小説通り)
この調子で5月7日の公開まで延々真綿で首を締められ続けるということなんですよね、オタクは。
真綿っていうか…普通に致命傷だが……。

というわけで、みんなたちも是非是非機動戦士ガンダムを履修して、私と一緒に5月7日に死を迎えましょう。
ガンダムどれから履修するか問題はオタクが紛糾しがちなNG話題ですが、私は劇場版「逆襲のシャア」から見ることを提案します!
なぜなら

シャア・アズナブルがデコを出しているからです!!!!!!!!!!

メリークリスマス! そして良いお年を!

***

なので! ここ5年くらいで買ってよかったものの話をしようと思います!
思いついた順番で書いていきます。
生活感がすごいです。

① ルンバ
部屋はめちゃくちゃ狭いんですけど、欲しかったので買いました。
床を這いずり回ってゴミをかき集めているルンバをベッドの上からニコニコ眺めるのが楽しいです。
もっとも、ルンバが仕事をする前に、邪魔になる服や物などを這いつくばってかき集めてるのは私なんですけど……。

② テープ付きOPP袋とボール紙のテープ付き封筒
同人誌の通販発送に使っている梱包材を一新していい感じになりました! テープ付きなので包むのが楽になりました。1つの封筒に入る量も、それまでのクラフト紙の封筒より増えました。
よかったです。

③ 突っ張り棚
壁と床の間を突っ張るタイプの棚というのをその時はじめて知って、買ってみたらすごいよかったです。とにかく部屋が狭くて、ていうか壁ぎわの可処分スペース(?)が少なくて、棚を置くことができずにずっと困っていたのがこれで解決されました。まだ一回も倒れてないので思っていたより丈夫でした。
追加購入してクソ狭キッチンにも設置しました。こっちは一回崩壊しました。
設置がめちゃくちゃ困難だったのでもっと簡単になってくれたら嬉しいなあと思いました。

④ 珪藻土バスマット
ビシャビシャにならないし、洗わなくていいので楽でした。

⑤ Nintendo Switch
買ったソフトはポケモン(剣)とゼルダBotW、あつもり、ブリガンダインです。
ゲームは楽しくて最高です。
ダウンロードでソフトを買うと便利だけどすぐにデータ容量がいっぱいになってしまって、この辺なんとかならないのかなあ〜と残念に思っています。
メモリーカードの呪縛から逃れられないのか。

⑥ 塊肉(牛)
ローストビーフにする術を完全にマスターしました。
冷蔵庫にローストビーフ入ってると、楽しい。
コツは日本食研のローストビーフの素です。

⑦ ビール
おいしい。
新潟のライディーンビール、群馬のクロア、宮崎のひでじビール、沖縄のサンゴビール、アメリカのブレイクサイドなどで特に興奮しました。
ラベルだけで買って、ピンとこない味の時があっても、ガチャっぽくて面白いです。

⑧ シエテのスキン
夏の水着(ブーメランパンツ)のスキンでひっくり返って転げ回ってたら冬のサンタスキンまで実装されちゃったのでオタクはめちゃくちゃになりました。
スキンごとに新規のセリフ(ボイス付)があるので…なんか…なんですか? 困惑しています。
1着3,000円! しかもスキンだけでなく10連ガチャチケット(3,000円分相当)もセットなので、水着は実質タダなんですよね。おすすめです。
ショップ画面>スキンセットからいつでも購入可能です!

***

他には、先週加湿器を買って、ここ数日様子を見守っているところです。
入手初日の試運転中に蹴っ飛ばして入れた水をぶちまけたので怯えています。
散らかしたまま数日放って置いたら乾いたので、やっぱり冬は乾燥しますね。
それとは逆に、セルシスの左手デバイスはめちゃくちゃ期待して買ったんですけど、体質と合わなかったので転がってます。悲しいです。

ついでに来年欲しいものをメモしておきます。
欲しいものていうか今年買わなかったもの…。

① マウス
壊れた。動かん。

② キーボード
無線機能が壊れた。一応動く。

***

以上です!
来年もいっぱい買い物しような!!
旅行にも行きたいな〜。熱海、伊豆大好き。九州に行きたい。

「謎」と私(201123)

みんな〜! 推しを推しているか〜!?

私は……推していますよ……。

最近までES21の次回Webイベントに向けて峨マルを推す本をしたためていたのですが、こちらは無事に完成しました!
ただイベント日程が思っていたより未来だったので、入稿はせずにしばらく寝かせておきます。例によって自家通販対応の予定なので、通販開始以前に家に在庫があるのは普通に邪魔なので……。

「化物(けもの)の心臓」全年齢28ページです。
原作では高校卒業後の進路が不明なマルコの大学進学ルートを描きました。
詳しくは入稿〜Webイベントへの参加登録が完了したらお知らせします。

そして次の推し活として鷹鴉本の作成に取り掛かりました。
2017年からネチネチ描いてた「孵化する日」の最後の本になります。ナンバリングは5冊目になります。
原稿の進捗度合いによっては上記のWebイベントより先に通販を開始できるかも…しれません。わからない……。3ページ目にしてネーム大崩壊して転げ回ってるので……。

で、みんなたちもそうだと思うんですけど、自分の推したちには何らか共通点があると思いませんか?
顔つきかもしれないし、性格かもしれない、生い立ちや家族構成、趣味、特技、話し方、あるいは声優かもしれない……。

私の推したちも思い返してみれば共通項はあるもので、おでこ出てるねとか、他人を小馬鹿にした態度が似合うねとか(?)、乳が出気味じゃないかとか、それなりに色々考えられるんですけど、ぜーーーーんぶひっくるめるとひとつに集約されていくんですよね。

雑魚ちゃんはね、うさんくさい男が好きなんだって………。

そもそも裏切る男が好きだなあから入ったオタク人生なわけですが(そうなの?)、裏切りって「うさんくささ」からの一種の結果ではないかと思うんですよね。その性質で物語を、他人を引っ掻き回して、こちら(読者)に多くの疑念を植え付けた男ならば、裏切ったほうがまだ誠実じゃないですか? 裏切りにたどり着く男は多くの場合はその理由を読者に教えてくれるし、理由の多くは過去の経験に根付いていることが多いというのが私の所感なのですが、とにかくそれを教えてくれるのであれば、彼は「うさんくささ」の尺度で言えばまだまだマトモ寄りなんだと思います。
だから私は誠実な男も好きなんですよね。最もその誠実さには「変なところで」という注釈をつけざるを得ないのですが。
問題は、引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、多くの謎(読者からの興味)を自分に惹きつけたまま退場していく男の方なんですよね。

聞いてるか円子令司シエテフロイド・リー、そのほか数多の男たちよ。

生い立ちもわからない、その生き様、考え方の原初も、行いのモチベーションも、未来も何もわからない。
謎に謎を呼ばせながら物語に居座り続けて、いないときはマジでいない男たち。

お前ら本当ふざけんなよ。

……と思いつつ、謎であることが一概に悪いことかというと、私はそうは思わなくて、謎を解く過程自体に意義があるという考えもあると思うんですよ。
端的に言えば私は「わからない」がわからないままでも構わないという考えです。

先日、野田彩子のトークショーに行って「野球回」の話をしたくだりをブログにも書いたかと思いますが、その際に東大生のクイズ研究会的な団体「クイズノック」の動画にも野球回があるんだよ、というのをお話しされていまして、私も野球回そのものと関連動画をいくつか見てみました。
その中で見つけたこの動画の中にそれについての一種の答えを見たような気がしましたのでご紹介します。

サムネイルにガッツリ出ている問題文がそれなのですが、この問いに答えがある動画ではなく、一種のお遊び企画として「参加者4人のうち押す人と押さない人がちょうど2対2になるような究極の2択問題になるボタンを作ろう!」という趣旨のものです。
サムネイルの問題で言えば「【この世のすべての謎が解けるが、誰にもそれを伝えられないボタン】を、押しますか? 押しませんか?」ということです。

押しますか? 押しませんか?

動画中ではまさに押す人と押さない人が2対2になり、それぞれの押す理由と押さない理由が説明されていきます。大体4分目あたりから見ることができます。
自然界のすべて、メカニズムや理論がわかる、が、論文などにはできない。

推しのすべてがわかるが、それを人に伝え、分かち合うことができない……。

おしますか? おしませんか? (ぐるぐる目)

(※推しは自然界のメカニズムではない)

科学という面に関して言えば須貝さんのおっしゃることはごもっともであり、それは大変意義のあることだと思うんだけど、こと自分の趣味で考えれば自分さえ理解できていればそれでいいという考えも持ち得ると思うんですよね。
でも何もかもがわかっちゃうんだったら、彼について考えることもないわけで、それはもう推すとか推さないとかの次元ではなくないですか???
この問いを突き詰めていくと、じゃあ自分のこの脳みそは何のためにあって、この目は何を見るためにあるのか? みたいなことになるような気がしました。

……という考えを深めていくと、わからないものについて、ああでもない、こうでもないと考えることこそが私にとっての推し活の最もたるところなのかもしれないと思いました。

暁の女神3部2章で、ネサラに対してティバーンはこう述べるわけです。
「お前が突然、キルヴァスの王位を継ぐことになった経緯とかその辺を詳しく」「洗いざらいぶちまけるんなら」と。
で、結局このくだりがその後作中で触れられることはないんですよね。

この思わせぶりな「問い」に私が何年とらわれているかわかりますか??????????????
(ヒント:暁の女神は2007年発売)

オエッ……………

ネサラ様はね、どっちかというと別にうさんくさい人ではないんですよね。蒼炎の時はもうちょっとその気があったかもですが。
でもニアルチがいて、鷺が出てきて、そもそも王様で、人からの信頼があってっていうのを見せられたら、やっぱり誠意の方の人なのかなあっていう見方をしてしまうわけじゃないですか。
蒼炎時点でも、「利」のある方につくっていうのは十分に動機として理解できるものだから、狡猾さやドライさでカバーできる範疇にあると思うんですよね。
だけどその過去は断片的にしか語られていないんですよ。
鷺とのよしみは随分昔からのものだったこととか、そこにはティバーンも一枚噛んでいたようであるとか。それでもそこから王になった経緯はわからない。

原作を何十周としたところでわからないものはわからないんですよね。描かれていないものは。
それとも私が気付いていないだけで本当は描かれているのかな?
わからない、もしもそうなら誰か教えて欲しい。ヒントだけでも。

で、そうやってわからないことをわかろうとして、考えて、要素を無理やりでもつなぎ合わせて、組み立てて、それでようやく自分を納得させられる答えを出せたときに生まれる感情、それが自分にとってその人間を推した証なのだろうと思いました。

ただ留意しなければいけないのは、これはあくまでも「納得」に過ぎなくて、理解とは全くかけ離れたものなんですよね。
結局全然わかっちゃいないんですよ、推しのことなんて。
実際原作で描かれていることさえも、欲目でねじ曲げて咀嚼して、もしかしたら理解とは程遠いところを彷徨っているかもしれない。
でも、それでもいいんですよ。納得があれば、私はそれでいい。

その人間の過去のことが一切分からなくても、それに想いを馳せて断片をつなぎ合わせてその人間につながる一筋の道を見出して納得できたのなら、それは間違いなく私にとっては救いです。
「わからない」ことによる苦しみがひとつ減るのだから。わからない事実には変わりなくても。

納得って理解とか知覚とかとは一線を画したところにあって、本当のことであっても納得できるとは限らなくないですか?
富士山の山頂では平地よりも気圧が低いから沸点が低く、お湯が100度未満でも沸騰するんだよと言われても「へえ…」でしかないというか…(何の話?)。
だから、自分のためには理解よりも納得の方が真に迫る必然性があるような気がします。

本当か嘘かも関係なく、ことの因果のあれこれに、私さえ納得できれば私は幸福だと思いました。
(現実問題ではファクトチェック※は割と厳密に実施するめんどくさオタクなのですが……)(※その言説は原作のどこに依拠したものですか?というあたりで)

ついでに言えば、これは経験則なのですが、謎のまま残される要素って、物語の本筋とは全然関係ないことが多いんですよね。読者としては気になるけど、構造を紐解いて考えると「必要のない部分」だった場合が多い。
円子令司の進路とかめちゃくちゃ気になるけど別にどうでもいいもんな……。
それに「答えが出ないこと」が正解な場合もあるじゃないですか。ハンターハンターの試験じゃないけど。
読者が考えることを織り込んで謎のまま残される要素っていうのはなきにしもあらずなんじゃないかなあと、推しを推すこととは別軸で考えることではあります。

わかっちゃったらダメなんだよなあ。
追いかける理由がなくなってしまうから。
人間は考える葦であるから、思考の種を植え付けられては光に向かって伸びていくしかないのかもしれない。

だけどその結果が正解、理解であるとは限らない。

私を惹きつける胡散臭い男たちよ。
お前たちが「謎」の男でいる限り、いつかお前たちのことも「納得」してやるからな。

このブログ記事を書きながら黒ラベルロング缶が3本空きました。
ヘロヘロになってきたのでそろそろ寝ます。

推しをその謎ごと推していこうな……。

ダブル、読んでいますか?

小学館傘下のWeb媒体「ヒーローズ」で連載されている、野田彩子による演劇漫画です。
主人公宝田多家良と彼を支える鴨島友仁、彼らを取り巻く業界の波風がテンポよく、しかし鋭く抉り抜かれています。
単行本は3巻出ており以下続刊。ことあるごとに全話無料公開されているので、機会を見つけてぜひ読んでみてください。今でも1〜5話と最新話は全体公開されています。

そんな3巻の刊行記念でトークショーが開催されましたので、本日行ってまいりました。
ポンコツ読者なので「トークショー! 文化の日! 会場は都内ねハイ申し込んだ!!」した結果、昨日寝る直前まで時間も詳しい場所も行き方も調べ損ねていたし、サイン会が併設なのも受付で係員に「サイン会に参加されますか?」と聞かれて知った。

作中で轟九十九という男がいまして、彼は宝田多家良の初めてのドラマ出演からたびたび共演するという役回りの先輩俳優になります。
漫画公式は以前Web上で公開質問を募集していまして、その折に野田彩子は「いろいろな漫画で1人はいてほしい顔」という形で彼を表現しておりました。
他には「顔が濃い」とか、「スカーフみたいな柄のシャツを着てそう」とか、そういう角度で攻めてきてくれるので、なんかもう外見が…好きです……の気持ちになりつつも、もちろん内面もめちゃくちゃ好きなので、今回お願いして描いていただきました。

みんなゆるい顔してるのに1人だけ顔の圧が強い男がいませんか? 愛しました。

設定上、彼は子役時代から業界に足を踏み入れており、またそのキャリアの中でも山谷がありつつ、演劇の歴史や技法は彼なりの哲学があって学び吸収し今の自分を形作っているという自負があるみたいで、演技に関しては結構プライド高めだよな〜というのが私なりの印象です。
現時点での最新話(二十幕)最後でもその片鱗が窺えて、展開は不穏さを醸しておりますが、「役者・轟九十九」の1ファンとしては非常〜に楽しみに思っています。

いや……「役者・轟九十九」のファンには……きっとなれないんですよね。読者は。
だって漫画では演技をしている轟九十九は見られないから。
私が彼についてグッときている、スカーフのような柄の私服も、ことあるごとにめちゃくちゃ声がでかいところも、打ち上げで酒を飲んで額まで真っ赤にするところも、ダル絡みしがちなところも、彼のプライドの片鱗も、全て舞台の外で、役者仲間に見せてる顔じゃないですか。
それってファンには絶対見えないものなんですよね。
仮に私がダブルの世界の一般人だったとしても、あるいは逆にこの現実世界で轟九十九が役者をやっていても、きっと私は彼に出会えていないだろうし、推すこともないんだと思います。
言い換えれば、私は役者としての人生を見せてくれるダブルの構造における轟九十九を愛しているだけであって、役者としての轟九十九を愛せるかどうかという問いにおいては、不可能であるというのが正解に限りなく近い答えのかもしれません。

それにしても二十話の轟九十九、最高だな……。以前共演したときに炎上したアイドル出身の女性俳優のファンから今では「気のいいおじさん」扱いされてると知ってショック受けて大声で喚き散らかしてるコミカルさから一転、役を下ろされたことに対してネガティブな感情を隠しもしない(どんな感情なのかは次回更新で明かされるのではないかと信じているのですが……)この温度差。
漫画表現において感情の振れ幅が大きい男って魅力的じゃありませんか?

まあ、トークショーではこの辺の話は一切なく、3巻の封入ペーパーにまつわる話題を中心に、作中で取り扱っている/取り扱いたいモチーフの原型になる映画や小説などのお話も多く、野田彩子の思考にしばし寄り添うような時間を楽しませていただきました。

ペーパーに関して「書店によって異なるペーパーが封入される、あるいは封入されていない場合もあるという性質上、見た人とそうでない人で作品に関して得られる情報に格差が発生してしまうのはよろしくないのではないか」というような感覚をお持ちのようで、コンプ癖のあるオタクの習性をよく理解されているなあというか、多分ご本人も強火めのオタクなんだろうなと勝手に思いました。いや、言ってましたね。ご自分で。確か。

新井煮干し子というBL名義もお持ちで(というか私自身がBLコミックスの「渾名をくれ」から入ったのですが)、男同士の確執を描くに長けておられるのでそちらもぜひ読んでほしいです。

で、トークショーでは「野球回のある作品は名作」という概念を強く推されておりまして、例としては同席されていた担当さんからは「ハルヒ」「フリクリ」が挙げられ、野田彩子本人は「おジャ魔女どれみ」のOVAを例に出しておりましたが、あの〜あるんですよね。野球回が。アイシールド21にも。
(トークショーではダブルで野球回をやるとすればポジションはどうなるだろう? というトピックが出まして、宝田多家良×鴨島友仁のバッテリーが鉄板では? からの黒津監督にピッチャーをやってほしい、鴨島とサインに首振る振らないでバチバチにやってそう、怖いな〜という話から、ピッチャーから下ろされた宝田がレフトに回されたり、ファーストミットが似合いそうだからとファーストに置かれた轟九十九が宝田の実は体が柔らかいんだという設定を受けてファーストにコンバートされたあおりを受けて花形ポジション・ショートに転換になるなどの経緯を辿り、オタクみんなショート選手好きだろの自説を立てているオタク的には感動の念で天を仰ぐなどしておりました)

いや、アイシールド21なんですよね。
私がハマりたてだった頃、ピクシブで二次創作をいろいろ見て回っていたときに、細川一休と金剛阿含の漫画同人誌がWeb再録されていたんですよ。もちろん今でも見ることができます。
内容すっごく良くて、人間2人を結ぶのに一元的な愛だの肉体関係だのの話に終始せず、キャラクターの人生を俯瞰してみているような話運びと、重厚な雰囲気漂う画面作りにすっごく感動した作品があって、今でもたまに読み返してしまうくらい好きになってしまったんですよ。
金剛阿含も細川一休もいいキャラクターだよな、とか。
金剛阿含から細川一休への感情ってそういえば考えたことなかったなあとか。

で、それを掲載しているアカウント名が「新井」さんとおっしゃるんですけど。

気づいた時に私はひっくり返ってしばらく寝ました。
脳が情報を処理しきれなかったので。

野田彩子のTwitterを遡ると、金剛阿含を「あーちゃん」と読んでいるTweetとか出てきて普通に面白いです。

というわけで、野田彩子および漫画ダブルの今後ますますのご発展とご多幸を祈念しまして、本日のブログの締めとさせていただきます。
本日は本当にありがとうございました(虚空に向かって叫ぶ魚類の絵文字)。

通販用のクレカの支払いが最近妙に多いなあと思いつつ、確認すると実際には自分で購入したものの履歴が大量に出てくるわけで、何をそんなに買っているのか見てみたら電子書籍(漫画)が大多数を占めているわけですよ。
電子書籍、本当に便利で最高だな、と。
最初はWeb連載の単行本化したものをチマチマ読んでいましたが、昔雑誌で中途半端に読んでいた漫画とか、友達の家で流し読みした漫画とか、アニメしか見たことないものとか、そういうちょっと懐かしいタイトルをドカンとまとめて読み直しています。ハガレンとかシュガルンとかCCさくらとか…。

そんな中でTwitterの相互が、バナナフィッシュのアニメを見始めた、面白い、漫画も買おうと思っているという話をしていたので、私もなぜか自宅に文庫版の1巻だけ物質であるし(買った記憶はない)、この機会に読んでみてもいいかなと思ったので、電子書籍で文庫版20巻分まとめて買って読みました。
面白かったです。
これが7月の話ですね(購入履歴でいつ買ったのか確認できるのも電子版のいいところかもしれない)。

で、10月に入ってから、やっぱりTwitterで今度はブラックラグーンの話を見かけて、こっちはタケナカと合言葉で云々してたくだりだけエピソードの記憶があったので、物は試しと電子書籍で11巻分購入しました。
面白かったです。
てっきり完結しているものだと思っていたのですが、未完なんですね?
未完には慣れているので全然いいのですが……。
そういえば十二国記の短編集の霊圧が出てきましたね、楽しみです。

バナナフィッシュもブラックラグーンも、自分にはどうしようもないところで発生した思惑に振り回され、その過去に囚われ続けている構造、否応なしに世界の広さを見せつけられる体験が非常に魅力的でした。
バナナフィッシュはことの発端がアメリカ人にトラウマを植えつけたと言われるベトナム戦争であり、あるいは米ソ対立、そこで跳梁跋扈したマフィアたち、見出されてしまった少年(たち)の物語でした。
一方ブラックラグーンでは、主人公は勤め先の日本企業が企んだ密貿易(禁輸国企業との核事業協力)と、関与を試みたロシアンマフィアのトラブルに巻き込まれ、書類上の死をもって日本を離れることとなります。彼が所属することになった運び屋の本拠地・タイのロアナプラには、上述のロシア系から中華系、南米系、イタリア系など複数のマフィアが支部を持ち、一触即発の気配を漂わせながらも共存を果たしていました。

2つの作品は、散りばめられる要素がなんとなく似通っていて(「戦争」の影、マフィアやドラッグ、南米との関わり、日本からの客人……)、続けて読むことで、今、一種の時代性への興味が湧いているところです。

とはいえ、調べてみたところ、これらの2作品では連載時期も違えば舞台になった国も時代も全くかぶっていませんでした。
バナナフィッシュの連載は1985-1994年であり、同じく1985年のアメリカ・ニューヨークを舞台にしています。ベトナム戦争(1955-1975年)の派兵でドラッグ由来の後遺症を負った主人公兄の存在が非常に大きく、その薬物と、それを取り仕切るコルシカマフィア、冷戦(ソ連及びその流れを汲む南米社会主義勢力)での利用を目論む国家権力といった思惑の交差が、物語を動かす中心を担ってます。
ブラックラグーンでは連載開始が2001年ということも関係してか、作中でもすでにソ連は解体されており、1991年以降の物語であることは確定と見て良いでしょう。とはいえ、ベトナム帰還兵がまだ現役で戦える程度にしか時代が経過していいない様子から、2000年代であるとも考えにくい。2巻では「1945年」の事件に対して「50年後」という表現がなされているので、舞台は1995年前後のタイであると考えることができます。

このように時代も地域も異なる作品にもかかわらず、少なくとも私にとって同じように興味深く感じられるのは、当時の日本人に見えていた世界の外殻が見て取れる(ような心地がする)からだと考えています。
今日では、ベトナム戦争やソ連崩壊はすでに時事問題を離れ歴史上の出来事として取り扱われるトピックであり、当時のニューヨークはおろか、日本の世相さえ知りようがない。
しかし、描いている人間はその時代を経験しており、作中に現れる価値観にはその経験が反映されていると考えられます。当時の人間の目を通して観測した世界がフィクション世界に表出し、そしてフィクションだからこそ過剰にも描かれうるならば、当時の人間に見えていた世界が観測者の印象ごと読者の中に流れ込んでくるわけです。
作品の内側を楽しみ、のめり込めばのめり込むほど、その外側にほのめかされる当時の世相やそこに至る歴史的経緯の存在に気付かざるを得なくなるのです。

いずれの作品においても、あるいは他の作品であっても、読者は読むという行為によって、今はもうないものを見る、今まで知らなかったものを知ることができます。
そして我々は、当時隠されていたりアクセスに困難があった情報について、インターネットで容易に調べることが可能な時代に生きています。
特にブラクラは連載時期やファン層がインターネット文化の中心に訴求していたこともあってか、考察や感想のブログが色々あったり、バナナフィッシュも2018年のアニメ化(ずいぶん設定に手が加えられてはいたようですが…)を契機に書かれた解説記事を見かけることも多く、そこから別作品の解説まで読みにいく、作品自体も鑑賞しちゃう(インターネットでアニメや映画も見れちゃうの本当に便利)など、最近ずっとネットサーフ知りたての子供みたいな生活になってしまっています。

物語を起点として外へ外への広がっていく、これら全ての行動・体験全てが楽しくてしょうがない、その感情を持つこと、それによってさらなる深みにはまっていくこと、これこそがオタクであるということなのだろうと思いました。

で、次に読むなら連載期間が2作品の大体中間にあたる1992-1997年、日本を舞台にした90年代少女漫画の金字塔セーラームーンかな、というのが目下の計画です。
これもアニメはずいぶん見ましたが漫画を読んだことがない作品のひとつです。

時代、地域、あるいは題材が上述の作品と近かったりする作品を知っていれば、ぜひぜひ教えてください。

暦も10月を迎えたし、肌寒い日も増えたし、これはもう本格的に夏が終わったなとしみじみしていたのですが、ここ数日妙に暑いし、左足のスネに集中して二箇所も虫に刺されて腫れてるし、終わるんか、夏、本当に……?
でも数年前にも10月にやたら暑くて気が狂いそうになった思い出があるので、10月って意外とこんなもんなのかもしれないね…。

今年は外に出る機会が例年より少なく、新しい服を買う気力もない、ていうか出かけないので服屋にも行かない、何もない、みたいな日々を過ごしているので、一番直近で買った服が夏向けのめちゃくちゃ派手色なトライバル模様?の柄シャツのままなかなか更新されない状況になってしまっています。

個人的な嗜好としてわりあい派手なものが好きで、デカいピアスとか色柄の主張激しい衣服とか、あと派手な顔の男とか……。好きなんだよな……。
目鼻立ちがくっきりしていてパーツがデカく、眉毛もキリリと太い男、よくないですか? いいよな……そういう男がでかいピアスとかギラギラジャラジャラしたアクセサリーを首とか腕からぶら下げてるの、めちゃくちゃいい。
何ってマギのシンドバッドですよ。わかるでしょ(わからせるな)。

で、ついつい顔が派手な男らに着せてしまうんですよね。派手な服を…アロハシャツを……。

今描いている峨マル本も舞台が夏なので円子令司にすげえ〜柄のシャツ着て欲しいな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜という欲望が捨て切れなくて……。
そもそも円子令司の夏の服、全然想像つかなくいないですか?
原作中の円子令司は秋季大会からの登場なので、あの制服って多分冬服なんですよね。円子令司初登場回の関東大会トーナメント抽選会じゃ、泥門メンツも大体上着を羽織ってるし、蛭魔妖一なんかフードにフワフワがついたガチめのダウン着てるくらいだから……。
峨王とか如月は半袖の白いワイシャツ着てるシーンとかあるんですけど、円子令司はなあ…。半袖の峨王と向き合ってても例の制服姿だったからなあ。冬の黒いコートはありましたけど…。
半袖の柄シャツ着せていいかな…趣味だしな…でも夏真っ盛りだけど知りませんみたいな顔してネクタイしめてジャケット引っ掛けてるのも絶対「ある」よな〜〜〜〜〜〜〜〜とか思ってふんぎりつかないよ〜迷うよ〜〜〜。

円子令司って頭のてっぺんから爪先まで全部自分の美意識って感じなので、オタクの方で手を加えるのが憚られる感じがしてしまうんだよなあ。
自己の中に美意識が備わっていない男が神の流れに逆らってデコを出すわけないので……(峨王の方は毛質がめちゃくちゃ硬いのと毛根の向きが相まってああなってるんだと勝手に解釈しています)。
スーツもオーダーメイドに手を出して6桁代金お支払いしてるしな。制服のワイシャツも1人だけ黒いしな。ネクタイも自分で選んでんだろうって感じだしな(他の白秋生の誰もネクタイつけてるシーンがないので分からないけど)。
そんな美意識に満ち満ちた男が汗かくのも土埃にまみれるのも厭わず頂点目指して足掻いてアメフトやってんのがオタクの大好きなギャップってやつなんだよなあ。
やりたいことをやる、なりたい姿をとる、それが他者かだどう見えても関係ない…というところなんでしょうか。だから氷室にアタックしに行くこともできるし、(彼女の意思は半ば無視してでも)マリアと呼び続ける……。

峨王は冬でも白無地半袖Tシャツなので、あれはなんというかマスコットキャラみたいでかわいいよね…(クリスマスボウルの観客席ではちゃんと長袖の上着を着ていたのでちょっと感動しました)。
関係ないけどパワータイプキャラ特有のあの袖や裾の端っこがビリビリになってる衣装ってどういう仕組みでそうなってるのかいつも不思議に思ってしまう。
伸びてるていうか破れてるんだよな…? どうやって……?

前回のブログでアイシールド21の高見伊知郎がアツイ旨だけお伝えしたかと思うんですけど、9/14が誕生日だったようなので、この機にその話をします。

高見伊知郎は王城高校アメフト部「ホワイトナイツ」の主将です。2巻の表紙にもいるくらい、かなり序盤から登場しているキャラの1人です。
彼のアメフト歴は長く、小学校のタッチフット(アメフト簡易版)から始まり、中高一貫の王城学園で高校3年生に至るまでQBのポジションを務めてきました。彼の作中での評価は「基本に忠実、ミスが少ない」に集約されるでしょう。

そんな経験豊富な選手である彼の最も大きな弱点は、足が遅いこと。
作中では、足の速さは40ヤード走のタイムを指針として語られており、アイシ2話では「普通の奴なら5秒台」と言われています。短距離走競技者であれば5秒を切るとも。また、足が速い設定である主人公・小早川瀬奈は物語序盤時点でも4秒2で40ヤード(約36.6m)を駆け抜けました。
そんな世界で、高見のタイムは6秒04。鈍足と呼ばれてしまうのもやむなしの数値でした。
ホワイトナイツの監督・庄司軍平(通称ショーグン)は、引き続きQBを志す高見に対し、現代アメフトで求められるQBの役割は投げるだけではなく、状況次第で移動したり、走ったりすることも含まれると述べ、そしてはっきりと「お前の脚では無理だ」と告げるのです。
ショーグンの言葉に涙を飲んだ高見でしたが、それでも諦めることなく練習を重ね、結果足の速さは克服できなかったものの、パスの正確さとチームの司令塔に足る頭脳、そしてもう一つの武器を手に、高校1年生でとうとう正QBとして抜擢されるのでした。

高見が手にした最大の武器。それは身長でした。
194cmの高身長。そのさらに伸ばした腕から放たれるパスは、フィールドで闘う選手たちのはるか頭上を抜けていきます。
この長身はショーグンも高く評価しており、強い期待を寄せます。

しかし、当然のことながらパスは投手1人では成立しません。
高見は捕手の到来を待ち望みました。「高さを生かせる相棒」を。
選手時代のショーグンは最後の試合を1点差で敗北しており、プレイ失敗の原因にQB(投手)とWR(捕手)の身長不足を挙げて今でも悔いを残しています。そのため、ホワイトナイツの全国制覇を見据えて高見と望みを同じくするのでした。

そんな彼らの前に現れたのが、桜庭春人でした。
桜庭は高見の1年後輩で、中等部入学当初で175cmあったその長身を買われてホワイトナイツに入部します。クラスで出席番号が前後であったために行動を共にしていた進清十郎も、同時に入部しました。
桜庭はもともとテレビでスポーツを見るのが好きな少年で、アメフト経験は皆無。ショーグンの厳しい指導に耐えかねてゲロ吐いて倒れたり、脱走を試みたり、サボったりとあまり芳しくありません。一方、同じくアメフト初心者だった進はメキメキと力をつけ、やがて誰しもに認められる選手となっていきます。
結果も出せず、同時入部の進にも大きく差をつけられ、失意に陥った桜庭は、中3の夏にそのルックスと長身を見染められ、街頭でモデルのスカウトを受けます。
芸能人になった桜庭は、やがて写真集を出したり、キャンペーンモデルに起用されテレビCMに出るなどの活躍を重ね、若い女性ファンを多く獲得していきました。それでも桜庭はホワイトナイツの退部はせず二足の草鞋を履くことを選び、その結果ホワイトナイツの試合にまで桜庭ファンたちが押し寄せるようになるのでした。

さて、作中時間で高見は高校3年生。桜庭も高校2年生へと上がります。身長は186cmまで伸びました。
無論桜庭はこの時点ではホワイトナイツの主要戦力としては数えられていません。レシーバーの1人です。しかしファンの人気は高く、アメフトをよく理解していない彼らは桜庭をホワイトナイツのエースと称えます。
同学年の進は高校最強と謳われ、アメフト界全体から高い評価を受けています。進こそがホワイトナイツのエースであることは、関係者からすれば誰の目から見ても明らかでした。
桜庭は偽りの評価を倦み、無力感に苛まれながら進への劣等感を強めます。
天才の進と凡人の自分。アメフトを始めた時期は同じなのに、差は開いていく一方で。

そんな中、試合中の事故が原因で桜庭は骨を折り入院してしまいます。
同じ病室に入っていた小学6年生・虎吉はタッチフット選手で、アメフトにも詳しい様子。最近レギュラーになり、彼の小学校生活で最初で最後の試合が近いと張り切っています。
虎吉は先の試合での桜庭を見ており、高見と桜庭が見せた高いパスキャッチに感動したと言います。今はチビでも大きくなって身長伸ばして、桜庭のような選手になりたい!と。
しかし桜庭にとってはあのキャッチは偶然であり、他の試合成績などを勘案すれば、自分は虎吉が憧れる「ヒーロー」という評価に値するとは到底考えられないのでした。
期待しすぎだ。買いかぶるのはやめてほしい。
誰にも言えない、桜庭の本音でした。

それでも虎吉は「あのキャッチに感動した」と言います。それ以外がどうでも構わない、と。
虎吉の熱い意志と人懐こさは桜庭の頑なだった心も和らげ、入院生活を通じて2人は交流を深めていきました。
虎吉のもとに担当医が現れ、交通事故起因の怪我は虎吉の足を大きく損ねており、歩くまでのリハビリにも1-2年を要することを告げます。
小学生活6年間を捧げたタッチフットでようやく勝ち取ったレギュラーの座。最後の試合に出られない。
虎吉は、この6年間なんのために頑張ってきたんだと涙を流します。
それを見た桜庭は、必ず強くなる、虎吉が感動したあのキャッチを偶然じゃなくして見せると決意を固めるのでした。

夏になり、ホワイトナイツのメンバーは毎年恒例の富士山麓で合宿に入ります。
復帰した桜庭もこれに参加。合宿所での厳しい練習に身を投じます。
一方、進はショーグンから富士山中での特別メニューを言い渡され、これに励みます。しかし機械音痴の進はショーグンから手渡されたGPSを初手で破壊してしまい、あっさりと遭難状態に陥ってしまいます。
既定の時間に下山してこない進の捜索に乗り出した高見や桜庭、王城主要メンバーは、山中で進がとある人物と顔を合わせているのに出くわしました。
そこで桜庭は、進が認める好敵手の存在を知り、天才・進の目指す先を知ることになったのです。
天才にも目指す先がある。頂点はまだ遠い。
思い知った桜庭は、改めて進を追うことを誓い、自分も同じ特別メニューに挑むことを決めたのでした。

桜庭はその鬼気迫るトレーニングによって、40ヤード走は5秒を切り、ベンチプレスも春時点では50kgだったものが70kgをクリアするなど、成果が現れます。
ショーグンが高見に「待った甲斐があったな」と声をかけるなど、レシーバーとしての桜庭にようやく光が当たりはじめていました。

しかし、桜庭本人はこの成果に満足できずにいます。
桜庭が自分自身を認めるためにも乗り越えなければならない天才たちがいる。
それなのに、他チーム天才レシーバーの40ヤードバック走記録4秒89にも及ばない走力(敵レシーバーのバック走と競ってパス妨害をしなければいけない)と、ベンチプレスは進の記録140kgのようやく半分の腕力と。
エースと呼ばれるものに、なれるものならなりたかった。
テレビで様々なスポーツを見ていた子供の時から憧れていた。
だけど凡人の自分では、その限界に挑んだところで彼ら天才の背中も見えないと思い知ってしまった。
桜庭は宥める高見に対して「5年間無駄にした」「何の意味もなかった」と暴言を吐いてしまいます。
高身長レシーバーの大成を待った高見に対して。

そんなやさぐれた桜庭に対し、高見は思わず手をあげます。割とガチのグーパンが顔面にヒットします。モデルの商売道具に一切容赦がありません。
他チームメイトの練習を背景に放心している桜庭は、芸能事務所によって拐われてしまいます。
車中でこのまま離れてしまってもいいのかもとの思いが頭をよぎりますが、虎吉に託されたリストバンドを握りしめて車から飛び降り、合宿所に駆け戻ります。
そこで進のジョギングと行き合います。
桜庭は耐えきれず、叫びます。
「諦められない」「進に勝ちたい」「俺も一流になりたい」
桜庭は自分が凡人であると認めています。それでも天才に勝ちたい。どうしたらいいのか、進に問うても答えはありません。
合宿所内ではショーグンと高見らの会話が耳に入ってきます。
凡才、鈍足のQBが一流の世界で戦うために必要だったもの。
彼らが待っていた6年間の願い。
それを聞いて、桜庭は自分の発言を悔いるのでした。

結局ホワイトナイツメンバー全員が山中トレーニングに移行。
桜庭は芸能事務所に辞表を提出したことを高見に伝えます。
到達した富士山頂で、高見は桜庭にボールを投げます。
頭上でキャッチした桜庭に、高見は「今のは日本で一番高いパスだ」と笑い、誰にも止められないこのパスで天才たちに勝つのだと誓うのでした。

***

その後大会が始まり、2人はエベレストパスと名付けた高層パスで試合を勝ち抜いていきます。
数多の挫折を乗り越え心身ともに強く鍛えられた桜庭は、進と2人のエースと呼ばれ得るまでに歩を進めました。
大会の結果は求めたものではありませんでしたが、桜庭の胸には別の後悔が残り続けていました。
死ぬ気になるのが遅すぎた」と。
高見はすでに最終学年、タッグが組めたのはほんの数試合だった。
芸能活動はアメフトからの、己の凡才を認められない自分からの逃避でしかなかった。
もしあの時からずっと足掻き続けていたら……。

大会が終わるとU18のワールドカップが開催され、桜庭はレギュラーメンバーに抜擢され、高見は補欠として参加します。
その決勝で、高見は桜庭の後悔を看破し、最後のパスでそれに応えるのです。
俺の6年間は無駄じゃなかった」「人に遅すぎるなんてない
そうして放たれた高層での高速弾・ツインタワーアローは絶望的な流れだった試合の中で日本チームに得点をもたらしました。

***

初登場2巻の男を最終37巻まで追いかけてしまったのでボリュームがえらいことになってしまいましたが、高見伊知郎がどういう男なのか、お分かりいただけましたでしょうか。
どういう男なのかと言っても人格・性格面の話が少なかったので補足しますが、彼は黒髪オールバックメガネの外見からして頭脳派タイプで、作中屈指の戦略家と認められる蛭魔妖一とタメを張れる数少ない人物の1人です。
人柄も日常生活では穏やかな常識人といった印象が強く、虎吉には「高ピョン」と呼ばれて親しまれてます。
後輩をガッツリ殴り飛ばしてますがあれはイレギュラーで、「高見さんが手ェあげるなんて…」と驚かれてるくらいです。

高見伊知郎の話をしますと銘打っておきながら途中別の男の話がかなり混入していますが、彼なしに高見は輝けなかったことの証左であります。
桜庭が持ち続けてきた問い、凡人が天才に勝つにはどうしたらいいのか、その答えのひとつに早くからたどり着いてきた凡人の1人でした。

高見は高校卒業後は医学部に進学し、外科医を目指しながらもアメフトを続ける選択をします。この先の彼を待つのも、これまで同様の足掻き続ける人生なのかもしれませんが、彼の意思がそこにあるのなら乗り越えられるものだと私は信じています。

アイシールド21は待ち続け足掻くことが報われる物語でもあり、高見と桜庭コンビ以外にも待ち続けた、待たれてきた、待たせてきた男たちが多数登場するので、いつかその話もできたらいいなあと思います。

9月ですね。ビアガーデンにもビアホールにもビアフェスにも参加できないまま夏が終わってしまう。切ないね。
掲題の件、新刊の通販開始のご案内です。

「孵化する日4」40ページ/ティバーン×ネサラ
★サンプルはこちら(Pixiv)
★通販ページはこちら(Booth)

ネサラのキルヴァス王即位のあたりからネチネチ捏造しているシリーズですが、今回はセリノスの大虐殺〜フェニキスの報復行為の開始までを描きました。
鷹と鴉のすれ違いと対立、その根本にあるお互いへの気持ち、その変化……等々、蒼炎の軌跡で彼らが見せてくれた険悪なような馴れ合いのような独特の空気感について考えた、1つの答えになったかなと思います。
あともう1冊、この流れを念頭においた暁後の彼らについて描きたいと考えています。
完成した際にはまたお付き合いいただけましたら嬉しいです。

***

先日アイシールド21のWebイベントにて、末席をお借りしました。
準備期間の関係から新刊は用意できなかったのですが、主催様がTwitter連動のタグ企画を立ててくださったり、他の参加者の方々の活動も見やすいよう取り計らってくださって、大変楽しませていただきました。
イベント期間の1週間でまた全37巻を通読し、前から好きだったシーンを再確認したり、見逃していた要素を発見したり、この素晴らしい漫画の魅力を改めてかみしめることができました。
Twitterでみなさんのアイシに関するpostをみたり、通販をご利用くださった方からメッセージをいただいたりした中で、なんだか気分が盛り上がってきちゃったので次は峨マルの新刊を作ることにしました
今回のイベントの主催様が2021年1-2月ごろにまた同様の企画をご検討されているようなので、そちらに合わせて発行できればと考えています。

当方白秋推しなんですけど、読み返すとやっぱりなんだかんだ各校各人それぞれアツくて、そんな中で特に高見伊知郎がアツすぎる!という話をそのうちしたいです。
ヤバい男が大好きです。

脱稿で〜す! パフパフ
脱稿した瞬間からビール開けてカパカパ飲んでるのでもう何も分からない。
結露で発生する憎き水滴への対策として、bodumのダブルウォールグラスが非常〜に優秀なので、ここでもお知らせしておきますね。すごい、最高、これでその辺がビチャビチャになることがない! 嬉しい……。

脱稿はしたんですけど、例によって納期に大変余裕のあるプランに申し込んでいるので、多分形になるまでに1ヶ月くらいかかるんじゃないかな……。サンプルや通販のご案内は時期がきたらtwitter等でご連絡します。
【基本情報】ティバーン×ネサラ「孵化する日4」B5/40ページ

懺悔なんですけど、全然くっつかないのでそこはなんかもう…そういうことなんだよね………。くっつかないなって思いました! だって2人のイザコザは蒼炎以前から続いていて、蒼炎中のアイクらの動きでセリノスを介したベグニオンとの軋轢は解決に近づいたものの、それって鷹と鴉には関係…ないな……みたいな……。鷹と鴉は暁のあのアレを乗り越えて、ああしてこうして、鷺も含めてひとつの国になってようやくスタート地点だなという感じだから、蒼炎以前をこねくりわしたってどうもこうならんのだわな。
あんたもそう思うだろう。

このタイトルをこねくり回しながら(1を出したのが2017年)蒼炎も何周かして、蒼炎の王様が一等好きだな〜〜〜〜!と思いました…。この話何度もしてるわね、でも好きなのよ。
ヤンチャ感がかわいいので!
黒竜王や獅子王に噛みつくバイタリティが、大好きなので。
暁でVS黒竜王した時には己では太刀打ちできないとわかって、しかもそれをそうと伝えてしまえているので、諦めを感じて切ないです。
竜鱗族に対しての鳥翼、その中でも鴉というのは、戦闘にならなければ勝ち筋はあるけど真正面からぶつかると負けてしまうんだよね。さもなければ数で勝負して、犠牲を飲み込んで、集団として押さえ込むしかないんだよね。ベオクがラグズをそうしたように。

というわけで、新しくもないゲームをやり、イベントもないのに本を作る生活が今後も続いていくと思いますが、お付き合いいただけたら嬉しいです。

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