メリークリスマス! そして良いお年を!

***

なので! ここ5年くらいで買ってよかったものの話をしようと思います!
思いついた順番で書いていきます。
生活感がすごいです。

① ルンバ
部屋はめちゃくちゃ狭いんですけど、欲しかったので買いました。
床を這いずり回ってゴミをかき集めているルンバをベッドの上からニコニコ眺めるのが楽しいです。
もっとも、ルンバが仕事をする前に、邪魔になる服や物などを這いつくばってかき集めてるのは私なんですけど……。

② テープ付きOPP袋とボール紙のテープ付き封筒
同人誌の通販発送に使っている梱包材を一新していい感じになりました! テープ付きなので包むのが楽になりました。1つの封筒に入る量も、それまでのクラフト紙の封筒より増えました。
よかったです。

③ 突っ張り棚
壁と床の間を突っ張るタイプの棚というのをその時はじめて知って、買ってみたらすごいよかったです。とにかく部屋が狭くて、ていうか壁ぎわの可処分スペース(?)が少なくて、棚を置くことができずにずっと困っていたのがこれで解決されました。まだ一回も倒れてないので思っていたより丈夫でした。
追加購入してクソ狭キッチンにも設置しました。こっちは一回崩壊しました。
設置がめちゃくちゃ困難だったのでもっと簡単になってくれたら嬉しいなあと思いました。

④ 珪藻土バスマット
ビシャビシャにならないし、洗わなくていいので楽でした。

⑤ Nintendo Switch
買ったソフトはポケモン(剣)とゼルダBotW、あつもり、ブリガンダインです。
ゲームは楽しくて最高です。
ダウンロードでソフトを買うと便利だけどすぐにデータ容量がいっぱいになってしまって、この辺なんとかならないのかなあ〜と残念に思っています。
メモリーカードの呪縛から逃れられないのか。

⑥ 塊肉(牛)
ローストビーフにする術を完全にマスターしました。
冷蔵庫にローストビーフ入ってると、楽しい。
コツは日本食研のローストビーフの素です。

⑦ ビール
おいしい。
新潟のライディーンビール、群馬のクロア、宮崎のひでじビール、沖縄のサンゴビール、アメリカのブレイクサイドなどで特に興奮しました。
ラベルだけで買って、ピンとこない味の時があっても、ガチャっぽくて面白いです。

⑧ シエテのスキン
夏の水着(ブーメランパンツ)のスキンでひっくり返って転げ回ってたら冬のサンタスキンまで実装されちゃったのでオタクはめちゃくちゃになりました。
スキンごとに新規のセリフ(ボイス付)があるので…なんか…なんですか? 困惑しています。
1着3,000円! しかもスキンだけでなく10連ガチャチケット(3,000円分相当)もセットなので、水着は実質タダなんですよね。おすすめです。
ショップ画面>スキンセットからいつでも購入可能です!

***

他には、先週加湿器を買って、ここ数日様子を見守っているところです。
入手初日の試運転中に蹴っ飛ばして入れた水をぶちまけたので怯えています。
散らかしたまま数日放って置いたら乾いたので、やっぱり冬は乾燥しますね。
それとは逆に、セルシスの左手デバイスはめちゃくちゃ期待して買ったんですけど、体質と合わなかったので転がってます。悲しいです。

ついでに来年欲しいものをメモしておきます。
欲しいものていうか今年買わなかったもの…。

① マウス
壊れた。動かん。

② キーボード
無線機能が壊れた。一応動く。

***

以上です!
来年もいっぱい買い物しような!!
旅行にも行きたいな〜。熱海、伊豆大好き。九州に行きたい。

「謎」と私(201123)

みんな〜! 推しを推しているか〜!?

私は……推していますよ……。

最近までES21の次回Webイベントに向けて峨マルを推す本をしたためていたのですが、こちらは無事に完成しました!
ただイベント日程が思っていたより未来だったので、入稿はせずにしばらく寝かせておきます。例によって自家通販対応の予定なので、通販開始以前に家に在庫があるのは普通に邪魔なので……。

「化物(けもの)の心臓」全年齢28ページです。
原作では高校卒業後の進路が不明なマルコの大学進学ルートを描きました。
詳しくは入稿〜Webイベントへの参加登録が完了したらお知らせします。

そして次の推し活として鷹鴉本の作成に取り掛かりました。
2017年からネチネチ描いてた「孵化する日」の最後の本になります。ナンバリングは5冊目になります。
原稿の進捗度合いによっては上記のWebイベントより先に通販を開始できるかも…しれません。わからない……。3ページ目にしてネーム大崩壊して転げ回ってるので……。

で、みんなたちもそうだと思うんですけど、自分の推したちには何らか共通点があると思いませんか?
顔つきかもしれないし、性格かもしれない、生い立ちや家族構成、趣味、特技、話し方、あるいは声優かもしれない……。

私の推したちも思い返してみれば共通項はあるもので、おでこ出てるねとか、他人を小馬鹿にした態度が似合うねとか(?)、乳が出気味じゃないかとか、それなりに色々考えられるんですけど、ぜーーーーんぶひっくるめるとひとつに集約されていくんですよね。

雑魚ちゃんはね、うさんくさい男が好きなんだって………。

そもそも裏切る男が好きだなあから入ったオタク人生なわけですが(そうなの?)、裏切りって「うさんくささ」からの一種の結果ではないかと思うんですよね。その性質で物語を、他人を引っ掻き回して、こちら(読者)に多くの疑念を植え付けた男ならば、裏切ったほうがまだ誠実じゃないですか? 裏切りにたどり着く男は多くの場合はその理由を読者に教えてくれるし、理由の多くは過去の経験に根付いていることが多いというのが私の所感なのですが、とにかくそれを教えてくれるのであれば、彼は「うさんくささ」の尺度で言えばまだまだマトモ寄りなんだと思います。
だから私は誠実な男も好きなんですよね。最もその誠実さには「変なところで」という注釈をつけざるを得ないのですが。
問題は、引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、多くの謎(読者からの興味)を自分に惹きつけたまま退場していく男の方なんですよね。

聞いてるか円子令司シエテフロイド・リー、そのほか数多の男たちよ。

生い立ちもわからない、その生き様、考え方の原初も、行いのモチベーションも、未来も何もわからない。
謎に謎を呼ばせながら物語に居座り続けて、いないときはマジでいない男たち。

お前ら本当ふざけんなよ。

……と思いつつ、謎であることが一概に悪いことかというと、私はそうは思わなくて、謎を解く過程自体に意義があるという考えもあると思うんですよ。
端的に言えば私は「わからない」がわからないままでも構わないという考えです。

先日、野田彩子のトークショーに行って「野球回」の話をしたくだりをブログにも書いたかと思いますが、その際に東大生のクイズ研究会的な団体「クイズノック」の動画にも野球回があるんだよ、というのをお話しされていまして、私も野球回そのものと関連動画をいくつか見てみました。
その中で見つけたこの動画の中にそれについての一種の答えを見たような気がしましたのでご紹介します。

サムネイルにガッツリ出ている問題文がそれなのですが、この問いに答えがある動画ではなく、一種のお遊び企画として「参加者4人のうち押す人と押さない人がちょうど2対2になるような究極の2択問題になるボタンを作ろう!」という趣旨のものです。
サムネイルの問題で言えば「【この世のすべての謎が解けるが、誰にもそれを伝えられないボタン】を、押しますか? 押しませんか?」ということです。

押しますか? 押しませんか?

動画中ではまさに押す人と押さない人が2対2になり、それぞれの押す理由と押さない理由が説明されていきます。大体4分目あたりから見ることができます。
自然界のすべて、メカニズムや理論がわかる、が、論文などにはできない。

推しのすべてがわかるが、それを人に伝え、分かち合うことができない……。

おしますか? おしませんか? (ぐるぐる目)

(※推しは自然界のメカニズムではない)

科学という面に関して言えば須貝さんのおっしゃることはごもっともであり、それは大変意義のあることだと思うんだけど、こと自分の趣味で考えれば自分さえ理解できていればそれでいいという考えも持ち得ると思うんですよね。
でも何もかもがわかっちゃうんだったら、彼について考えることもないわけで、それはもう推すとか推さないとかの次元ではなくないですか???
この問いを突き詰めていくと、じゃあ自分のこの脳みそは何のためにあって、この目は何を見るためにあるのか? みたいなことになるような気がしました。

……という考えを深めていくと、わからないものについて、ああでもない、こうでもないと考えることこそが私にとっての推し活の最もたるところなのかもしれないと思いました。

暁の女神3部2章で、ネサラに対してティバーンはこう述べるわけです。
「お前が突然、キルヴァスの王位を継ぐことになった経緯とかその辺を詳しく」「洗いざらいぶちまけるんなら」と。
で、結局このくだりがその後作中で触れられることはないんですよね。

この思わせぶりな「問い」に私が何年とらわれているかわかりますか??????????????
(ヒント:暁の女神は2007年発売)

オエッ……………

ネサラ様はね、どっちかというと別にうさんくさい人ではないんですよね。蒼炎の時はもうちょっとその気があったかもですが。
でもニアルチがいて、鷺が出てきて、そもそも王様で、人からの信頼があってっていうのを見せられたら、やっぱり誠意の方の人なのかなあっていう見方をしてしまうわけじゃないですか。
蒼炎時点でも、「利」のある方につくっていうのは十分に動機として理解できるものだから、狡猾さやドライさでカバーできる範疇にあると思うんですよね。
だけどその過去は断片的にしか語られていないんですよ。
鷺とのよしみは随分昔からのものだったこととか、そこにはティバーンも一枚噛んでいたようであるとか。それでもそこから王になった経緯はわからない。

原作を何十周としたところでわからないものはわからないんですよね。描かれていないものは。
それとも私が気付いていないだけで本当は描かれているのかな?
わからない、もしもそうなら誰か教えて欲しい。ヒントだけでも。

で、そうやってわからないことをわかろうとして、考えて、要素を無理やりでもつなぎ合わせて、組み立てて、それでようやく自分を納得させられる答えを出せたときに生まれる感情、それが自分にとってその人間を推した証なのだろうと思いました。

ただ留意しなければいけないのは、これはあくまでも「納得」に過ぎなくて、理解とは全くかけ離れたものなんですよね。
結局全然わかっちゃいないんですよ、推しのことなんて。
実際原作で描かれていることさえも、欲目でねじ曲げて咀嚼して、もしかしたら理解とは程遠いところを彷徨っているかもしれない。
でも、それでもいいんですよ。納得があれば、私はそれでいい。

その人間の過去のことが一切分からなくても、それに想いを馳せて断片をつなぎ合わせてその人間につながる一筋の道を見出して納得できたのなら、それは間違いなく私にとっては救いです。
「わからない」ことによる苦しみがひとつ減るのだから。わからない事実には変わりなくても。

納得って理解とか知覚とかとは一線を画したところにあって、本当のことであっても納得できるとは限らなくないですか?
富士山の山頂では平地よりも気圧が低いから沸点が低く、お湯が100度未満でも沸騰するんだよと言われても「へえ…」でしかないというか…(何の話?)。
だから、自分のためには理解よりも納得の方が真に迫る必然性があるような気がします。

本当か嘘かも関係なく、ことの因果のあれこれに、私さえ納得できれば私は幸福だと思いました。
(現実問題ではファクトチェック※は割と厳密に実施するめんどくさオタクなのですが……)(※その言説は原作のどこに依拠したものですか?というあたりで)

ついでに言えば、これは経験則なのですが、謎のまま残される要素って、物語の本筋とは全然関係ないことが多いんですよね。読者としては気になるけど、構造を紐解いて考えると「必要のない部分」だった場合が多い。
円子令司の進路とかめちゃくちゃ気になるけど別にどうでもいいもんな……。
それに「答えが出ないこと」が正解な場合もあるじゃないですか。ハンターハンターの試験じゃないけど。
読者が考えることを織り込んで謎のまま残される要素っていうのはなきにしもあらずなんじゃないかなあと、推しを推すこととは別軸で考えることではあります。

わかっちゃったらダメなんだよなあ。
追いかける理由がなくなってしまうから。
人間は考える葦であるから、思考の種を植え付けられては光に向かって伸びていくしかないのかもしれない。

だけどその結果が正解、理解であるとは限らない。

私を惹きつける胡散臭い男たちよ。
お前たちが「謎」の男でいる限り、いつかお前たちのことも「納得」してやるからな。

このブログ記事を書きながら黒ラベルロング缶が3本空きました。
ヘロヘロになってきたのでそろそろ寝ます。

推しをその謎ごと推していこうな……。

暦も10月を迎えたし、肌寒い日も増えたし、これはもう本格的に夏が終わったなとしみじみしていたのですが、ここ数日妙に暑いし、左足のスネに集中して二箇所も虫に刺されて腫れてるし、終わるんか、夏、本当に……?
でも数年前にも10月にやたら暑くて気が狂いそうになった思い出があるので、10月って意外とこんなもんなのかもしれないね…。

今年は外に出る機会が例年より少なく、新しい服を買う気力もない、ていうか出かけないので服屋にも行かない、何もない、みたいな日々を過ごしているので、一番直近で買った服が夏向けのめちゃくちゃ派手色なトライバル模様?の柄シャツのままなかなか更新されない状況になってしまっています。

個人的な嗜好としてわりあい派手なものが好きで、デカいピアスとか色柄の主張激しい衣服とか、あと派手な顔の男とか……。好きなんだよな……。
目鼻立ちがくっきりしていてパーツがデカく、眉毛もキリリと太い男、よくないですか? いいよな……そういう男がでかいピアスとかギラギラジャラジャラしたアクセサリーを首とか腕からぶら下げてるの、めちゃくちゃいい。
何ってマギのシンドバッドですよ。わかるでしょ(わからせるな)。

で、ついつい顔が派手な男らに着せてしまうんですよね。派手な服を…アロハシャツを……。

今描いている峨マル本も舞台が夏なので円子令司にすげえ〜柄のシャツ着て欲しいな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜という欲望が捨て切れなくて……。
そもそも円子令司の夏の服、全然想像つかなくいないですか?
原作中の円子令司は秋季大会からの登場なので、あの制服って多分冬服なんですよね。円子令司初登場回の関東大会トーナメント抽選会じゃ、泥門メンツも大体上着を羽織ってるし、蛭魔妖一なんかフードにフワフワがついたガチめのダウン着てるくらいだから……。
峨王とか如月は半袖の白いワイシャツ着てるシーンとかあるんですけど、円子令司はなあ…。半袖の峨王と向き合ってても例の制服姿だったからなあ。冬の黒いコートはありましたけど…。
半袖の柄シャツ着せていいかな…趣味だしな…でも夏真っ盛りだけど知りませんみたいな顔してネクタイしめてジャケット引っ掛けてるのも絶対「ある」よな〜〜〜〜〜〜〜〜とか思ってふんぎりつかないよ〜迷うよ〜〜〜。

円子令司って頭のてっぺんから爪先まで全部自分の美意識って感じなので、オタクの方で手を加えるのが憚られる感じがしてしまうんだよなあ。
自己の中に美意識が備わっていない男が神の流れに逆らってデコを出すわけないので……(峨王の方は毛質がめちゃくちゃ硬いのと毛根の向きが相まってああなってるんだと勝手に解釈しています)。
スーツもオーダーメイドに手を出して6桁代金お支払いしてるしな。制服のワイシャツも1人だけ黒いしな。ネクタイも自分で選んでんだろうって感じだしな(他の白秋生の誰もネクタイつけてるシーンがないので分からないけど)。
そんな美意識に満ち満ちた男が汗かくのも土埃にまみれるのも厭わず頂点目指して足掻いてアメフトやってんのがオタクの大好きなギャップってやつなんだよなあ。
やりたいことをやる、なりたい姿をとる、それが他者かだどう見えても関係ない…というところなんでしょうか。だから氷室にアタックしに行くこともできるし、(彼女の意思は半ば無視してでも)マリアと呼び続ける……。

峨王は冬でも白無地半袖Tシャツなので、あれはなんというかマスコットキャラみたいでかわいいよね…(クリスマスボウルの観客席ではちゃんと長袖の上着を着ていたのでちょっと感動しました)。
関係ないけどパワータイプキャラ特有のあの袖や裾の端っこがビリビリになってる衣装ってどういう仕組みでそうなってるのかいつも不思議に思ってしまう。
伸びてるていうか破れてるんだよな…? どうやって……?

前回のブログでアイシールド21の高見伊知郎がアツイ旨だけお伝えしたかと思うんですけど、9/14が誕生日だったようなので、この機にその話をします。

高見伊知郎は王城高校アメフト部「ホワイトナイツ」の主将です。2巻の表紙にもいるくらい、かなり序盤から登場しているキャラの1人です。
彼のアメフト歴は長く、小学校のタッチフット(アメフト簡易版)から始まり、中高一貫の王城学園で高校3年生に至るまでQBのポジションを務めてきました。彼の作中での評価は「基本に忠実、ミスが少ない」に集約されるでしょう。

そんな経験豊富な選手である彼の最も大きな弱点は、足が遅いこと。
作中では、足の速さは40ヤード走のタイムを指針として語られており、アイシ2話では「普通の奴なら5秒台」と言われています。短距離走競技者であれば5秒を切るとも。また、足が速い設定である主人公・小早川瀬奈は物語序盤時点でも4秒2で40ヤード(約36.6m)を駆け抜けました。
そんな世界で、高見のタイムは6秒04。鈍足と呼ばれてしまうのもやむなしの数値でした。
ホワイトナイツの監督・庄司軍平(通称ショーグン)は、引き続きQBを志す高見に対し、現代アメフトで求められるQBの役割は投げるだけではなく、状況次第で移動したり、走ったりすることも含まれると述べ、そしてはっきりと「お前の脚では無理だ」と告げるのです。
ショーグンの言葉に涙を飲んだ高見でしたが、それでも諦めることなく練習を重ね、結果足の速さは克服できなかったものの、パスの正確さとチームの司令塔に足る頭脳、そしてもう一つの武器を手に、高校1年生でとうとう正QBとして抜擢されるのでした。

高見が手にした最大の武器。それは身長でした。
194cmの高身長。そのさらに伸ばした腕から放たれるパスは、フィールドで闘う選手たちのはるか頭上を抜けていきます。
この長身はショーグンも高く評価しており、強い期待を寄せます。

しかし、当然のことながらパスは投手1人では成立しません。
高見は捕手の到来を待ち望みました。「高さを生かせる相棒」を。
選手時代のショーグンは最後の試合を1点差で敗北しており、プレイ失敗の原因にQB(投手)とWR(捕手)の身長不足を挙げて今でも悔いを残しています。そのため、ホワイトナイツの全国制覇を見据えて高見と望みを同じくするのでした。

そんな彼らの前に現れたのが、桜庭春人でした。
桜庭は高見の1年後輩で、中等部入学当初で175cmあったその長身を買われてホワイトナイツに入部します。クラスで出席番号が前後であったために行動を共にしていた進清十郎も、同時に入部しました。
桜庭はもともとテレビでスポーツを見るのが好きな少年で、アメフト経験は皆無。ショーグンの厳しい指導に耐えかねてゲロ吐いて倒れたり、脱走を試みたり、サボったりとあまり芳しくありません。一方、同じくアメフト初心者だった進はメキメキと力をつけ、やがて誰しもに認められる選手となっていきます。
結果も出せず、同時入部の進にも大きく差をつけられ、失意に陥った桜庭は、中3の夏にそのルックスと長身を見染められ、街頭でモデルのスカウトを受けます。
芸能人になった桜庭は、やがて写真集を出したり、キャンペーンモデルに起用されテレビCMに出るなどの活躍を重ね、若い女性ファンを多く獲得していきました。それでも桜庭はホワイトナイツの退部はせず二足の草鞋を履くことを選び、その結果ホワイトナイツの試合にまで桜庭ファンたちが押し寄せるようになるのでした。

さて、作中時間で高見は高校3年生。桜庭も高校2年生へと上がります。身長は186cmまで伸びました。
無論桜庭はこの時点ではホワイトナイツの主要戦力としては数えられていません。レシーバーの1人です。しかしファンの人気は高く、アメフトをよく理解していない彼らは桜庭をホワイトナイツのエースと称えます。
同学年の進は高校最強と謳われ、アメフト界全体から高い評価を受けています。進こそがホワイトナイツのエースであることは、関係者からすれば誰の目から見ても明らかでした。
桜庭は偽りの評価を倦み、無力感に苛まれながら進への劣等感を強めます。
天才の進と凡人の自分。アメフトを始めた時期は同じなのに、差は開いていく一方で。

そんな中、試合中の事故が原因で桜庭は骨を折り入院してしまいます。
同じ病室に入っていた小学6年生・虎吉はタッチフット選手で、アメフトにも詳しい様子。最近レギュラーになり、彼の小学校生活で最初で最後の試合が近いと張り切っています。
虎吉は先の試合での桜庭を見ており、高見と桜庭が見せた高いパスキャッチに感動したと言います。今はチビでも大きくなって身長伸ばして、桜庭のような選手になりたい!と。
しかし桜庭にとってはあのキャッチは偶然であり、他の試合成績などを勘案すれば、自分は虎吉が憧れる「ヒーロー」という評価に値するとは到底考えられないのでした。
期待しすぎだ。買いかぶるのはやめてほしい。
誰にも言えない、桜庭の本音でした。

それでも虎吉は「あのキャッチに感動した」と言います。それ以外がどうでも構わない、と。
虎吉の熱い意志と人懐こさは桜庭の頑なだった心も和らげ、入院生活を通じて2人は交流を深めていきました。
虎吉のもとに担当医が現れ、交通事故起因の怪我は虎吉の足を大きく損ねており、歩くまでのリハビリにも1-2年を要することを告げます。
小学生活6年間を捧げたタッチフットでようやく勝ち取ったレギュラーの座。最後の試合に出られない。
虎吉は、この6年間なんのために頑張ってきたんだと涙を流します。
それを見た桜庭は、必ず強くなる、虎吉が感動したあのキャッチを偶然じゃなくして見せると決意を固めるのでした。

夏になり、ホワイトナイツのメンバーは毎年恒例の富士山麓で合宿に入ります。
復帰した桜庭もこれに参加。合宿所での厳しい練習に身を投じます。
一方、進はショーグンから富士山中での特別メニューを言い渡され、これに励みます。しかし機械音痴の進はショーグンから手渡されたGPSを初手で破壊してしまい、あっさりと遭難状態に陥ってしまいます。
既定の時間に下山してこない進の捜索に乗り出した高見や桜庭、王城主要メンバーは、山中で進がとある人物と顔を合わせているのに出くわしました。
そこで桜庭は、進が認める好敵手の存在を知り、天才・進の目指す先を知ることになったのです。
天才にも目指す先がある。頂点はまだ遠い。
思い知った桜庭は、改めて進を追うことを誓い、自分も同じ特別メニューに挑むことを決めたのでした。

桜庭はその鬼気迫るトレーニングによって、40ヤード走は5秒を切り、ベンチプレスも春時点では50kgだったものが70kgをクリアするなど、成果が現れます。
ショーグンが高見に「待った甲斐があったな」と声をかけるなど、レシーバーとしての桜庭にようやく光が当たりはじめていました。

しかし、桜庭本人はこの成果に満足できずにいます。
桜庭が自分自身を認めるためにも乗り越えなければならない天才たちがいる。
それなのに、他チーム天才レシーバーの40ヤードバック走記録4秒89にも及ばない走力(敵レシーバーのバック走と競ってパス妨害をしなければいけない)と、ベンチプレスは進の記録140kgのようやく半分の腕力と。
エースと呼ばれるものに、なれるものならなりたかった。
テレビで様々なスポーツを見ていた子供の時から憧れていた。
だけど凡人の自分では、その限界に挑んだところで彼ら天才の背中も見えないと思い知ってしまった。
桜庭は宥める高見に対して「5年間無駄にした」「何の意味もなかった」と暴言を吐いてしまいます。
高身長レシーバーの大成を待った高見に対して。

そんなやさぐれた桜庭に対し、高見は思わず手をあげます。割とガチのグーパンが顔面にヒットします。モデルの商売道具に一切容赦がありません。
他チームメイトの練習を背景に放心している桜庭は、芸能事務所によって拐われてしまいます。
車中でこのまま離れてしまってもいいのかもとの思いが頭をよぎりますが、虎吉に託されたリストバンドを握りしめて車から飛び降り、合宿所に駆け戻ります。
そこで進のジョギングと行き合います。
桜庭は耐えきれず、叫びます。
「諦められない」「進に勝ちたい」「俺も一流になりたい」
桜庭は自分が凡人であると認めています。それでも天才に勝ちたい。どうしたらいいのか、進に問うても答えはありません。
合宿所内ではショーグンと高見らの会話が耳に入ってきます。
凡才、鈍足のQBが一流の世界で戦うために必要だったもの。
彼らが待っていた6年間の願い。
それを聞いて、桜庭は自分の発言を悔いるのでした。

結局ホワイトナイツメンバー全員が山中トレーニングに移行。
桜庭は芸能事務所に辞表を提出したことを高見に伝えます。
到達した富士山頂で、高見は桜庭にボールを投げます。
頭上でキャッチした桜庭に、高見は「今のは日本で一番高いパスだ」と笑い、誰にも止められないこのパスで天才たちに勝つのだと誓うのでした。

***

その後大会が始まり、2人はエベレストパスと名付けた高層パスで試合を勝ち抜いていきます。
数多の挫折を乗り越え心身ともに強く鍛えられた桜庭は、進と2人のエースと呼ばれ得るまでに歩を進めました。
大会の結果は求めたものではありませんでしたが、桜庭の胸には別の後悔が残り続けていました。
死ぬ気になるのが遅すぎた」と。
高見はすでに最終学年、タッグが組めたのはほんの数試合だった。
芸能活動はアメフトからの、己の凡才を認められない自分からの逃避でしかなかった。
もしあの時からずっと足掻き続けていたら……。

大会が終わるとU18のワールドカップが開催され、桜庭はレギュラーメンバーに抜擢され、高見は補欠として参加します。
その決勝で、高見は桜庭の後悔を看破し、最後のパスでそれに応えるのです。
俺の6年間は無駄じゃなかった」「人に遅すぎるなんてない
そうして放たれた高層での高速弾・ツインタワーアローは絶望的な流れだった試合の中で日本チームに得点をもたらしました。

***

初登場2巻の男を最終37巻まで追いかけてしまったのでボリュームがえらいことになってしまいましたが、高見伊知郎がどういう男なのか、お分かりいただけましたでしょうか。
どういう男なのかと言っても人格・性格面の話が少なかったので補足しますが、彼は黒髪オールバックメガネの外見からして頭脳派タイプで、作中屈指の戦略家と認められる蛭魔妖一とタメを張れる数少ない人物の1人です。
人柄も日常生活では穏やかな常識人といった印象が強く、虎吉には「高ピョン」と呼ばれて親しまれてます。
後輩をガッツリ殴り飛ばしてますがあれはイレギュラーで、「高見さんが手ェあげるなんて…」と驚かれてるくらいです。

高見伊知郎の話をしますと銘打っておきながら途中別の男の話がかなり混入していますが、彼なしに高見は輝けなかったことの証左であります。
桜庭が持ち続けてきた問い、凡人が天才に勝つにはどうしたらいいのか、その答えのひとつに早くからたどり着いてきた凡人の1人でした。

高見は高校卒業後は医学部に進学し、外科医を目指しながらもアメフトを続ける選択をします。この先の彼を待つのも、これまで同様の足掻き続ける人生なのかもしれませんが、彼の意思がそこにあるのなら乗り越えられるものだと私は信じています。

アイシールド21は待ち続け足掻くことが報われる物語でもあり、高見と桜庭コンビ以外にも待ち続けた、待たれてきた、待たせてきた男たちが多数登場するので、いつかその話もできたらいいなあと思います。

Nintendo Switch用ゲームソフト「ブリガンダイン ルーナジア戦記」が6月25日に発売されてからそろそろ1ヶ月が経とうとしています。プレイしましたか? しましたか? しましたか?
体験版が配信されているので、ぜひプレイしてみてください。
簡単にいうと6か国のうちから好きな勢力を1つ選び、他5か国と陣取り合戦を繰り広げながら大陸制覇するゲームです。
陣地をとったりとられたり、盤面によっては結構シビアな戦闘が続くこともあるので、購入後数日は寝食を忘れてプレイする、みたいな状況に陥っていました。
楽しいゲームは永遠にプレイできる。
この世の理です(そうか?)。

それにしてもゲームが発売日の0時になった瞬間からDL&プレイ可能になるとか、便利な世の中になりましたね。Switch自体がまた品薄で入手困難になっているみたいなので、そっちの方が大変そうです。

***以下、ネタバレあり***

公式サイトに「ファンタジーウォーシミュレーション」というジャンル表記がある通り、マナがどうとかモンスターを召喚するとか亜人とか宗教とかそういうファンタジー愛好心をくすぐる要素がたくさんあって、説明書読んでるだけで楽しいタイプのゲームです。DL版なので説明書…ありませんけど……。

この物語の舞台であるルーナジア大陸には、ルーンの神によって神秘の力「マナ」の恩恵がもたらされています。マナによって人間たちは発展を遂げ、古代のモンスターを召喚・使役することができます。
大陸には6つの勢力が比肩しており、それぞれ異なる歴史、信仰あるいは資源、権益の有無によって反発しあっていました。

そんな6勢力の1つにマナ・サリージア法王国は名を連ねています。
マナ・サリージアは最も広大な版図を誇り、また首都ザイにはルーン神の信徒にとって重要な「マナの泉」を擁します。
ルーンの信徒は大陸中に遍在しており、ザイを拠点とする勢力はザイ派と呼ばれました。ザイ派の信徒たちは、隣国ガイ・ムール共和国内のモハナ派信徒と、過去には30年にわたる戦争に至るほどの大きな禍根があるのでした。
しかし当代の法王、ロマヌフ・マルコはそれをよしとせず、協調路線の治世を築きます。
ロマヌフによって、反目し続けていた2勢力も融和の道を歩みはじめた……はずでした。

ロマヌフの息子、ルド・マルコはルーン警察師団の師団長として、国内で着実に地歩を固めていきます。ルーン警察師団はマナの泉をはじめとする聖蹟の警護や関連施設の管理、運営等を担っており、騎士の中でも特に優れた者を選抜して結成されています。
ルド・マルコの師団長就任はその血筋はもとより、彼自身の騎士としての実力によるところも大きく、ザイ派の騎士の中では右に出るものはいないとの声もあります。
また、法王の方針もあって他派にも一見寛容に接する彼らですが、自らこそが正当な信望者であるとの自負は大きく、特にルドはその中でも特に急進的な考えを持っていました。
ルドは「最も高潔で最も強き者こそが、種と世界を統べ、そして導く」ことが「この天地万物の秩序」であるとの考えを持ち、誇り高い信仰心を持つザイ派によるルーン信仰の統一を是とします。そして、その揺るがぬ信条によって、大陸中で燻っていた戦火を大きく燃え上がらせていくのでした。

その夜、ルドは己の父であるロマヌフの暗殺を決行します。そしてそれをモハナ派の凶行と公表。ガイ・ムール共和国との戦端を開く口実とするのみならず、信仰統一を掲げた大陸制覇へと乗り出すのでした。

***

好きじゃん、ほら。
好きになっちゃったよ。
野心に満ち満ちた男が好きだから………。

ルド曰くの支配者の条件について、高潔さや強さについて定義の必要性を感じつつも、ルドが高潔であることも、強き者であることも、わたしには否定できないし、きっと誰にもできないよなあと思いました。
彼の欲らしい欲、例えば権力そのものや、付随する富や名誉への興味があるようには見えなくて、己の恃むところによって起つこと、それを示すことに意義を感じているのだとわたしは理解しました。
無論、それは明確に自己顕示という欲の名を冠するものだけど。
ただ己の力を信じること、それを示すことを求める彼の姿は、わたしにとっては幼い子供のように見えて、きっと他に何が得られなくても彼は示さずにいられないのだと思いました。
そして彼には彼自身が決めた責務を果たすことへの自覚があるので、個人的にはその辺も高潔ポイント高いです。

一方の強きの方は、この男マジでめちゃくちゃ強いから。
敵対勢力でマナ・サリージア侵略したときに本当に心臓縮んだんですけど、こっちが攻撃力100とか200とかの世界で削りあってるところに突っ込んできてMP大量消費の一撃で500とかぶん殴ってくるんで。
最初にその痛恨の一撃放ってからは通常の200程度の攻撃に落ち着く(MP切れ)ので、例えば囮にLv.1モンスターを置いておいて殺していただいて、そこを魔法や遠隔攻撃や固めの騎士でポコポコ叩いていけば倒せるので…いいんですけど……。

それでこの強き男が側近として重用している男がいて、カイルというんですけど。
まず、ゲーム内の表情差分がですね、すごくて。
口元を歪めた笑顔があるんですよね。邪悪ってこういう?みたいな顔をする。
ルドの笑顔も邪悪なとこあるけど、闘争心!ギラギラ!!って感じがするのでかわいいもんですよ(主観)。
でもカイルの方は…なんか…企んでるな……と思わせる何かがあって……。
ああこいつは一筋縄じゃいかねえな…とか……。

ルドの目の届かぬ部下たちに関する情報を提供したり、その後の方針について進言したり、参謀タイプの振る舞いをしていて、裏切るのはこういう男だよな!!!と思って好きになりました。ていうか、絶対裏切るタイプだったと思うんですよね。
主がルドだから裏切らなかっただけで。
ルドはカイルをうまく使った…あるいは、カイルが望む振る舞いを(そうと意識していなくても)成し続けてきたんだろうなあと思ったんですよね。
カイルが腹の底に抱える欲望というか、そこはかとない邪悪な一面が、ルドと相性良かったんだろうな。いや、ルドは…邪悪ではないが……(?)。
邪悪ではないけど、聖人でもない。それは多分、他人の欲望を否定しないから。意に介さない、興味がないともいうかもしれない。
欲に力が釣り合っていないとき、ルドは立ち塞がってその道筋を打ち砕くのだろう。
この辺ちょっと根拠に乏しいのでもう少しスキットを読み込むなどして考えたいところではあります。全てのスキットを回収できているわけでもないので、そちらも意識しつつ。
ていうかカイル自身も高潔の一端を担う騎士のはずなんですけど、つい邪悪だ〜って言っちゃうの、ごめんね…でも邪悪なんだよな……。

あとプロフィール上でも気になる情報があって、カイルは42歳でルドは22歳なんですよ。20歳差って下手したら親子では?
いつからその主従関係は始まったんだろうとか、まさかおむつ変えてやったりした可能性も?とか、剣の稽古をつけたりもしたのかなとか……最近はもうずっとこの2人の関係性に思いを馳せていますね……。永遠に考えていますよ……。

あとこっちも普通に強いです。運用的にはルドとカイルをそれぞれ別方面の部隊に割り振って進攻してくスタイルがメインかなと思います。
思いますけど。

思うんですけど、2人を同じ戦場に連れてくと特殊会話が発生して、

カイル「ルド様、本日はわたくしめにお任せください。
    ルド様の手を汚すまでもありません。
    彼らは知ることになりましょう。自らの無知、そして無力を。」
ルド 「良きに計らえ。」

はぁ。
ルドは要所要所で良きに計らえを発射するんだけど(このくだりももっと読み込みたい)、これは信頼なのかな…。
この戦場に、あるいはカイルの振る舞いにさえ興味ない説ありますけど、どうなんだろうな。
ルドを1人で戦場に放り出すと意気揚々と宣戦布告しだすので、こうやって落ち着かれるとびっくりしちゃうんですよね。
あとカイルも結構煽るんだよね…。血気盛んでお似合いの主従だと思います。そしてそれが同じ戦場に立つとこうなる。

かわいいな………。

という感じで、結構楽しくプレイしています。
ストーリーやキャラクターに関しては描写が弱いな、ここ掘り下げてくれないのかな、6勢力の君主だけじゃなくて主要キャラにも専用3Dモデルが欲しかったな〜とか細々とした惜しさを感じつつも、システムなど総合的に見ればまとまりよく仕上がっていると感じるので、1プレイヤーとしては非常に満足しています!
BGMもいいんだよね…。ワクワクする。

大大大満足だったので、DL版を買った上で、ソフト/サントラCD/ビジュアルブック/攻略本同梱の限定盤まで買ってしまいました。
え…永遠に見ていられる………。

さあ! みんな(誰?)もブリガンダインで永遠を手に入れよう!

先日、5/31はアイシールド21に登場する金剛兄弟の誕生日でした。
そこでTwitterにはちょっとした漫画を載せました。

これを描くにあたって原作の兄弟のあたりを読み返したことで、種々の感情がフツフツと湧き上がってしまったので今回ブログにしてしまおうと思った次第です。

***

金剛雲水(兄)と金剛阿含(弟)は神龍寺学院アメフト部に所属する双子の兄弟。
兄は禁欲的でストイック、一方の弟はそれとは真逆で己の欲望に忠実、女性関係も奔放で、暴力沙汰もしばしば。
神龍寺学院は仏教系の団体を母体とした神奈川有数の名門校として描かれ、入試難易度も極めて高いとされる一方で、アメフト部も創部以来無敗で関東大会を制覇し続けてきた強豪チームとして登場します。
では、同じ日に生まれ、一卵性双生児ゆえの同じ顔を持ち、同じ高校で同じチームに所属した2人は、同じものを手に入れてきたのでしょうか?

答えは否でした。

「阿含 俺がお前を最強にする」 (21巻185話より)

幼少の頃からずっと、雲水は阿含の活躍の陰に隠され続けていました。
阿含はあらゆることを雲水よりも先に習得し、またあらゆることをトップレベルでこなしてゆきました。
雲水はトレーニングを積み、努力を重ねてきましたが、阿含は天才であり雲水は凡才であるという周囲の評価が覆ることはついぞありませんでした。
神龍寺学院への入学についてもそうです。
阿含はスポーツ推薦に飛び込みで合格し、雲水は一般入試受験でその背中を追います。
阿含を最強の選手にするために。

雲水は阿含を信じています。
阿含が最強だと。
それが真実である限り、己の無力も敗北さえも報われると考えている。

一方で阿含は雲水の思惑を分かった上で、顧みる素振りを見せず奔放な振る舞いを続けます。
神に愛された男。100年に一度の天才。
だからこそ許される振る舞いを。
人を馬鹿にしたような態度も、練習やミーティングに参加しないことも、試合に遅刻してくることも、飲酒に喫煙、不純異性交友さえ、成果主義を盾にして全てが許されてしまいます。
それが阿含にとって幸いだったかはともかくとして。
雲水が阿含の素行不良のフォローに努める描写はありますが、当の阿含は全く気に留めません。

個人的には、そもそも雲水がどこまで本気で阿含の振る舞いを阻止しようとしていたのか疑わしいと思っています。
雲水にとって阿含の才能は絶対的なものであり、その素行は才能の輝きを損ない得ないことを、これまでの経験上身に染みて知っているはずだからです。

そんなある意味で屈折した感情を抱えた2人にも、やがて転機が訪れます。
関東大会での敗北です。
それも、阿含が特に凡才だと見下し、嘲ってきたチームに対して。

そもそもアイシールド21では天才と凡才、才能と努力の対比が常に描かれ続けており、神龍寺以前にも様々な形で語られてきていました。
努力は尊いものとして描かれ、努力する天才という存在が作中でも評価高く、また主人公のライバルとしても設定されてきていました。

その上で、初めての敗北を経た阿含は、物事に本気で取り組むことへの意欲を見せます。
スイッチの入った阿含に、より強くなる予感を感じた雲水は期待を抱きますが、自分の問題とも向き合わざるを得なくなります。
つまり、凡才は本当に天才に勝つことが不可能なのか?
挑むことさえ忌避してきた己の行いは、過ちではなかったのか?
関東大会中にも雲水は様々な天才と凡才たちの戦いを見てきました。
凡人の限界を受け入れ、天才を支え活かす道を選んだ自分とは異なる選択をした凡才たち。
決して折れることのない野心をもち、もがく凡才を。
雲水はそれを「泣きたいほどに羨ましい」と述べるに至ります。

その後、彼らを取り巻く高校アメフト界では国際大会が企画され、日本でも選抜チームが組織されます。
そこでも阿含は選ばれ、雲水は選ばれない。
雲水はそもそも選抜試験に参加さえしておらず、選ばれる土俵にすら昇っていない状態でした。
そして、会場で大会を観戦しながら、阿含をはじめとする才あるものたちや、自分と似た境遇を持つはずの凡才たちの戦いを見ながら、なぜ自分はこんなところで見ているだけなのかと涙を流して深く悔い入ります。

また、その過程で阿含から雲水への評価が明かされます。もしも雲水が自分自身のためにもがける凡才であったなら、どれだけ楽だっただろうかと。
自分の野心に蓋をして、希望も抱けず、全力を尽くし切ることもしなかった雲水の選択を、阿含は不服に思っているのでした。

原作最終話では、主要人物たちの高校卒業後の姿が示されます。
金剛兄弟は共に大学進学の道を選びましたが、入学先は異なる大学でした。
雲水の選択は、阿含とは別のチームに加入し、一選手として阿含を倒すことを決意したからだと語られています。
雲水は阿含への期待、阿含を通した勝利への執着と決別し、自分の足で立つことを知ったのでした。

***

金剛雲水、とんでもない男だとしか言えないです。
阿含は作中でもその才と暴力性によって化物じみた扱いを受けていますが、その影で阿含を立てる雲水の姿も等しく化け物なのではないでしょうか?
化物を隠蓑に暗躍する化物の構図として読解を試みると、阿含より雲水の方が余程凶悪なのではないか?と思う次第です。
阿含が凡人たちを蔑ろにする描写が多々ある中で、凡人であるはずの雲水に対してはそれらとは一線を画していると思います。もし雲水がもがける凡人であったなら、阿含はきっと雲水のことも他の凡人と同じように扱うことができて、それはきっと阿含にとっても楽だったのではないでしょうか。
達観し、弁えたポーズをとり、己を殺し自分に尽くして見せる兄の姿が弟の胸中に与えた影響はどのようなものだったのでしょう。
作中で描かれた多くの天才たちは「自分に立ち向かう凡人」というライバルを手にしていましたが、阿含には与えられなかった。
蛭魔妖一は阿含が無視できなかった凡人ではありますが、蛭魔が阿含に立ち向かうことになるのはずいぶん後になってからのことです。

阿含は「わからない」と言います。「死んでもトップを獲りにもがくのが面白い」ことをわからないと。
雲水や、周囲の人間は阿含がトップでいることを当然のことだと考えている。そうでなければ報われないのだと押し付けられた頂点に君臨し続けた阿含にとってその地位はどんな意味を持っていたのでしょう。
雲水が自分自身を諦めの中に置いていたときに、阿含は雲水を諦めから引きずり上げる術を持ちませんでした。
雲水を上向かせたのは、彼と同じ立場の凡人たちでした。

阿含は自分の存在が雲水の心を傷つけてきたことに自覚的だったと思います。
本来阿含が見出されていたスポーツ留学の案内が、雲水に届いてしまったことで兄弟の関係性の歪みが決定的なものになります。
お互いに比べられることから逃れられない兄弟という関係。苗字が同じ、年齢が同じ、顔が同じ……。
雲水が自分を守るために身につけた歪な達観もまた、阿含の傍若無人な振る舞い同様、誰にも顧みられることなく受け入れられてしまった。
そこに至って、兄弟にとってはどちらの無関心も不幸なことだったのだろうなと思わざるを得ません。

関わってきた様々な人たちの行いによって、自制的に兄弟は変わっていきました。諦観に蓋され続けた意地や嫉妬、がんじがらめの執着から解放され、あるいはその存在を受け入れた2人の変化が、幸いなものであればいいなと思っています。

直参予定だった4/12全空が開催延期になっています。振替時期は未定ですし(そもそも振替できるのか?)、発行予定だった新刊を寝かせておくのも惜しいので、印刷して通販することにしました。
下記ご確認ください。

GBF/グラン×シエテ「ひとつ星」32p
シエテの「暴走」を経て、グランはシエテとの距離をはかりかねていたが、 迫る風古戦場の脅威には抗えずに彼の助力を乞うことに。
現れたシエテの以前と変わりない気安さにグランは拍子抜けしてしまう。 そんな中、剣神を従えるシエテの振る舞いを目の当たりにし、一抹の不安を感じるのであった。
・サンプル https://www.pixiv.net/artworks/80981123
・通販 https://zacoca.booth.pm/items/1989430

100エピ〜風古戦場〜こくうしんしんの時系列を採用しています。
チンタラ原稿やってる間に水古戦場始まっちゃって泣いたけど……。
水古戦場、ヴェインちゃん大活躍で嬉しかった〜! リリィと一緒にフルオートしてたら自スキルで勝手に瀕死になって勝手に全快を繰り返してたので本当にタフだな…と思った。

あと原稿中の思い出は、突然カジノのポーカーに取り憑かれたように取り組んでしまってクリスティーナが加入しました。長いピンク髪の海賊ルックの女、大好きなんだよな……(クリスティーナは海賊ルックなだけで海賊ではない)。Fateも船長激推しだしな。モーレツ宇宙海賊も見た目で視聴決めたしなあ。
BASARAの長曾我部元親も好きだし、鷹鴉も「船を持たぬ海賊」なんて呼ばれちゃったりしてたじゃん。
荒くれ!略奪!的な概念が好きなのかな〜。物騒が過ぎる。

海賊といえば、作業中にガルパンを見てたんですよ。とうとう完走しました。
それで、最終章の大洗側の新戦力が海賊っぽくて非常に良かったんですよね……。一番の推しキャラはアンチョビなんですけど(ドリルツインテ×つり目大好きすぎた)、箱で推すならサメさんチームかな!!!!!って思いました。
全編通して最高に面白かったです。

そんなこんなで、次回参加イベントがとうとうなくなってしまいましたが……時期を見てスケジュールを立てていこうと考えています。
グラシエ配置で参加したいし(上述のプレイ状況を反映してジュエルリゾートが舞台の本にしたい)、鷹鴉の続きも描きたい、欲望に溢れている。
ともかく今は世情の落ち着きを祈るばかりです。

眼鏡の男(191016)

先週末、窓の外で台風が猛威を振るっている中、私は十二国記の予習をしながらブルーレイを見ていました。
ちなみに十二国記を今から読もうとしている方がもしいらっしゃれば是非「魔性の子」から読んでいただきたい。私自身も最初に「魔性の子」に触れてその世界観の奥深さ、不透明性に心惹かれて十二国記シリーズそのものに手を出した経緯がありますので、まずここから、自分と作風の距離感を測ってみてはいかがでしょうか。
ちなみに十二国記ないし「魔性の子」では、強い風と雨がとても重要な役割を果たすものなので、台風の音を聞きながら読む十二国記、なかなか趣深いものでした。
いうても台風の音、ブルーレイの内容に負けて全然印象に残ってないですけど…。

で、KING OF PRISM -Shiny Seven Stars- 第2巻を見ていたんですよね(感想はこちら)。
それでやっぱり思ったんですよ、十王院、最高だな……って……。
(別件なんですが、鷹梁について、ようやく少しわかってきたような気がしています。彼は戦う男ではなかったんだということです。
今までみんなの港であるという役割で自らを縛っていた彼が、自分の意思をもち、それを信じて向き合えるようになる。そういう成長が芯だったのだと思いました。
戦闘民族に囲まれすぎて、戦わない男がいるということをすっかり忘れていた。というか、家庭内?の彼は完全に戦う男だったじゃないですか、そうでもなきゃ香賀美を椅子に縛り付けたりなんぞするものかよ)
今まであまり眼鏡をかけた男に興味がなくて、理由は特にはないんですけど、デコを出すというシンボルを与えられる男の内面にどうしようもなく心惹かれてしまう性癖の逆サイドということなのでしょうか。眼鏡をかけているというシンボルを与えられた男に全く興味を抱けない……。
ただやはり性癖も一枚岩ではないので、年月によって変わりもするし、新たに出会った男によって変えられたりもするわけだ。

雑魚ちゃんが何の話をしようとしているのか。
勘の良い方は既にお気づきかもしれませんね。

そう、HiGH&LOW THE WORST の話ですね。

轟洋介〜〜〜〜〜〜〜〜〜……。
ザワ見て一番の感想は、轟洋介に対する「これ以上好きにさせないでくれッッッ」だったし、二番目の感想は「ジャム男は俺が幸せにしてやる……」です。ちなみにドラマの方は未視聴です(ただしドラマ情報は常に目から入ってくる環境にある)。
まず轟は鬼邪高校の全日クラスの中で「一番」強い男なんですよ。そんな彼も、定時クラスの「てっぺん」村山には敵わない。ザワ以前にも戦いを挑んで負けているし、ザワ中でもまた敗北してしまう。さらに村山はザワで鬼邪高校を卒業してしまった(でもあれは卒業ていうか中退だと思います)。
そうすると暫定的に轟が全校で「一番強い」わけですが、村山には敵わないままなんだよな。その、一番なのに満足できない感じがまずひとつ推せるポイントなんですよ。飢えてる男が好きなので……。
そんな中、全日クラスにひとりの男が転入してくる。花岡というのですが、花岡は鬼邪高生の中にも出身者が多い「絶望団地」(通称)で暮らしていた小学生時代があり、そのころのよしみと、本人の腕っ節、また底抜けに明るい懐っこさを武器に、全日の不良生徒たちの人心を次々掌握していきます。
もともと轟は不良生徒ではなく、むしろ彼らに搾取される側の立ち位置でした。それが己の決心と努力で強さを手に入れ生まれ変わり、かつて植えつけられた憎しみから不良生徒を下し続けてきた経緯があるんですよね。
だから轟は「一番強い」存在としての「てっぺん」は目指しても、生徒たちを従えるボスという立ち位置を求めることはない(辻&芝の2人だけは轟についていく、という事実も推せる…ただし経緯はよくわからん)。
それと引き換え花岡は、鬼邪高校という看板を背負う気持ちが既にある。自分は鬼邪高校の一員であり、生徒たちのことを自分の仲間だと認識している。
この対比の中で、ハイローは常に仲間との絆を描いてきた作品だから、どうしたって花岡が主人公になってしまうし、村山も轟に対して「花岡は轟にはないものを持っている」という助言を残すわけです。轟が敵わない部分がある男がまた出てきてしまった。
一番なのに、一番になれない。
一番なのに、一番ではないと言われてしまう。
みんなの中の「一番」は、常に違う男の持ち物として輝いている。
この身を引き裂かれそうな矛盾が、彼に異質な輝きを与えている。オタクはそれを好んでしまう…。そうだろ……?
そして、それでも轟が「一番強い」事実は頑として揺るがない、そういう描写が諸所にあるところもポイントです。
花岡は自分のチームのメンバーに「轟は花岡より強い」と言い切られてしまいますし、作中の強敵との喧嘩でも、花岡や他の鬼邪高校が苦戦する中、轟ひとりバチバチに技を決めまくって、敵の四天王相手を立ち上がれなくなるほどに痛めつけてしまいます(花岡の強さはあまり強調された描かれ方をしておらず、四天王とのタイマンにも至っていない)。
また、全日の生徒の中で「てっぺん」村山と戦うに至ったのは轟だけです(しかも助言までもらってる)。花岡も村山と戦うことはできなかった。それは村山がそれを受けなかったからに他ならないのですが、村山に己を受け入れさせた轟というあり方はもう本当に、確かに、あの場で一番強いんですよ。
そして、物語の最後、轟は花岡を認めます。花岡の隣で、その発言を取り上げて盛り立てようとする。
王が別の王のもとに下る、それでも己が勝ち得た「一番」の称号は渡さない。
こんな構図がこんなところにあるなんて……思っていなかった……。本当に好き……。

深く刻まれた性癖の前に人間の理性なんて無力ですよ。魂の輝きは外見に妨げられない。こんな男がメガネをかけているなんて思っていなかった。
ウウ〜〜〜〜……。
あとこれは関係あるようでないようでちょっとだけあるんですが、前田公輝のムニュニュってなってる上唇の形が好きなんですよね。昔デイアフタートゥモローを見ていた時にジェイク・ギレンホールの唇をずっと見ていたことがあり、ああいうムニュニュになってるのすごく好きで……。
それもちょっと関係してるんだろうなと思ったりしています。
アイシ19巻カラーページの円子令司の上唇に落ちる影の形から、彼もそういうムニュニュの持ち主なのでは?と勝手に思っている節もありますし。

唇の話ていうか眼鏡の話をするつもりだったので話を戻すと、最近呪術廻戦という漫画を読んでいて、これまた眼鏡の七海というキャラクターに心惹かれつつあるので、だいぶ好みに影響が出ているなと感じているわけです。彼がどんな生き様を見せてくれるのか、過去のことは結構教えてくれているのですが、未来について、これからが楽しみです。

そんなわけで、当方と近似の性癖を抱えている各位には、ぜひぜひザワを見に行って欲しいなと思っています。そんな人間がいるのかどうかは…私にはわかりませんけど……。

好きですか? 王様。
わたしは大好きです。

主君をコロコロ変えるとは、臣として不忠不義もここに極まれりといったところですが、「七度主君を変えねば武士とはいえぬ」ともいいますし、ちょっと私の新しい王様の話を聞いてください(ただし雑魚ちゃんは臣下でなければ武士でもない)。

そういえば十二国記、2019年中には新作出るって本当の本当ですか? 国が十二あって王も十二いるという、十二国記。
十二国では雁の王・小松の三男坊が好きなんですよ、国を失う男が好きなので。
今まで手の届かないところに取り上げられてたものを、姿が失われる寸前で押し付けられて、取りこぼして、それでもまだ求めてしまう、欲望というかバイタリティに満ち満ちて、野望を標榜して止まない精神力が愛おしくて……。あるいは、そうでもしなければ希望がなさすぎる、絶望と紙一重の境遇が。
新しい国がうまくいって、新しい民を守り尽くしても、失われたものは戻ってこない。「そのもの」はもうない。詫びる言葉もなく、相手もいない。癒えることのない傷は常に心の奥底で口を開けている。その傷が治らず痛むことに安堵するのか? 癒えなければ忘れないから?
とは言え自罰的な概念は、特別好きではないんだよな。自分を罰している暇があったら馬車馬のように働いて、未来のために尽くしてほしいので。とんでもないエゴですよ、これは。私の。

何の話をしているのか? 王様ですよ。

「国を滅ぼした男」たる悪名、最高では? とは最近ずっと考えてることなんですがね。真相がどうあれ、最後の王ってそういうことになってしまう(と思う)から。
ずっと後になって、歴史上の出来事として、ああすればこうすればと語られる中で、例えば無能であったとか人望がなかっただとか、そういう風に肉付けがされることもあるのでしょう。本当のことは誰も知らない。
ただ、場合によっては、長命の鷺あるいは竜の老人の子供時代の思い出として、露悪的で献身的な鴉の記憶がおぼろげにあり続けられるかもしれない。もっともそれがかつて王であったなんて、その子供には知り得なかったことだけど。
存命中の出来事でも、「鴉の王」を名乗る鴉が現れて、旧王の所業をを糾弾するとかありうるだろうな〜…鷹やベオクとの確執よりも、鴉同士での軋轢の方が、指標が不在になったことで突沸して諸所に飛び火しそうな気がする。
暁後、一国になった後の諸々もこうやって断片的に考えることはありながらも、過去のことで手一杯になってるので全く…全く取りかかれず……考えることが多くないですか? ていうか動かす手が少なすぎるのでは? どうして頭は一個しかなく、手は二本しかなく、一日が二十四時間しかない中で八時間眠ってしまうのだろうか。

関係ないようであるようでないんですが、「孵化する日3」が6月か7月に出ると思います。引き続き誓約まわりの捏造です。よろしくお願いします。十二国記とどっちが早いかな〜(?)。

で、新しい王様の話ですよ。今までのは前振りです。

グランブルーファンタジーが新しいキャラクターを突然十人もぶち込んできてまして、十賢者っていうらしいんですが、この中にいるんですよね〜王様〜〜〜…。公式くん、十人もいたら誰か刺さるやろ!みたいなレンジがバカでかい攻撃するのやめてくれや。王様とは別にもう一人致命傷差しこんできた奴もいるんでね…。王様じゃないので今日はその話はしませんけど…。
天星剣王シエテ様を仲間にした時の話と似ていて、十賢者を仲間にするのもハチャメチャなドロップ素材を集めまくらなきゃいけないようなので全く進んでおらず、ほとんど作中の会話は読めてないのにもうわかる、絶対好きなんだよなぁ、あの王様………。
ちょっとだけ公式HPから引用させていただきますね。

とある貧民街で人々から「王様」と慕われる、元ガルゲニア皇国の第五皇子、「断罪の皇帝」カッツェリーラ。

わかった?
わかっただろ? もういいだろ?
雑魚ちゃんはひっくり返って仰向けになったまま泣いています。オギャア。
王様、貧民街に居を構え、そこに住まう人々を正しい道へと導くような振る舞いをしているらしい(例えば密造酒を製造・販売していた男に樽に用いる材木の良し悪しを判断する目が備わっていることを見抜き、まっとうな材木商人へと転身させるなど)。王様、貧民街のみんなは正体も名前も知らないけど、王様と呼んで慕っている。王様、本当は音楽が好きで、政治には興味がなかった。
第五皇子だから継承権は遠いもんな…。そうだよな。でも、それが、今は……?
……………。
王様…………。
えっ…この後どうなるの…? 素材…どれ……? どの素材をどこで集めることができるのか、全くわからない。頑張れ雑魚ちゃん。道のりは長いがその分たどり着いた時の感動は…でかいぞ…。多分……。
ほらまたこうやって、本当に好きなのかわからない男を思い込みで好きになって労力つぎ込んでるだろ、なんて効率の悪い生き方なんだ。でもこういう生き方しかできない。業が深い。許してくれ、王様、許してください。
王の概念は象徴だから、全部王様のせいにしてもいいんだろ? そうだろう、俺には何の取り柄もなくて、あんたは俺を導けない。でもそれは俺が悪いんじゃなくて、俺を使えないあなたがいけないんだ、そうだろう王様…!

突然モブ貧民になる芸、やめたいな。

シエテの方も天星剣王とか言っちゃってるから、危ういニオイがプンプンするんだよな。最終上限解放するための素材集めがまっっっっっっっっっっったく終わっていないので、彼に関する全てのエピソードは解放できておらず、おそらくもっともどデカイ爆弾がそのまま残っている最悪の状況です。こわ…でも早く見たい……。
お前は何の王なんだ……。怖いよ〜怖いよ〜〜〜〜〜。

グラブル、例のイベント000後編は大満足の結末でした。最高だったね。
あんな概念を突きつけられたら、全ての言葉が陳腐になってしまうよ。
自分の求めるものがわかっていて、最短距離を突き進むパワーのある生き方。見ていてなんと気持ちのいいものか。
やっぱり何につけても体力なんですよ…。突き落とされた地の底で襲い来る混沌を殴り続け、不死を打倒する力を手にするに至ったその体力。愛ゆえにと宣いながら確たる目的を持ち、2000年の不眠を貫ける体力。目覚めてすぐでも敵をボコしてやろうとする気力、自分がコピーだと知りオリジナルを前にした時に、お前を打倒し取り込めば俺が完全になれると襲い掛かれる体力。
Power is everything.
やっぱり、そういうことなんだな。

というわけで、いろいろな王様の話をしてきましたが、七人は流石に揃えられませんでした。一つの作品から三人も四人も持ってくるの野暮だしな。
でもシンドバッドの生き方が一番好きかなと思います。王でありながらも「自分」の理想を追い続けた男、結局姿を消した男。根深いエゴを取りさらわなかった男。王がエゴを叶えることを肯定したがった男。
はーこわ、怖い。怖いよぉ。

意思が強い男が好きだなあ(統括)。

当サイトトップページのオフライン情報を更新しました。
春コミ情報のアップデートと、なぜか抜け漏れていたスクネサ既刊の追加です。

新刊2種になりました。

前回記事でご紹介した鷹鴉新刊と、我慢できずにしたためてしまった嘘喰い/梶フロ小説(未完)です。小説はこのサイトで色々書いているわりには紙媒体に落としたことがなかったので、やってみることにしました。
「悪い男(準備号)」A5サイズ28ページ300円になります。
ご興味があれば、どうぞ。

とは言え、前回の嘘喰い本が伽羅貘だったところを、梶フロとは突然どうした?感が否めないと思います。ただし突然どうにかなるのは大変得意なのでご容赦ください。
梶フロは、嘘喰いに登場する梶隆臣とフロイド・リーのCPです。2人は色々あって34巻でタイマン張ることになってます。まずはそういう接点です。タイマンといっても、前に書いている通り、嘘喰いはギャンブル漫画なので、勝負の内容はギャンブルです。まあ日本刀振りかざしたり拳銃奪いあったりする命張ったゲームなんですけど…。
梶くんは斑目の仲間で、斑目のチームメンバーとしてゲームに参加してます。一方フロイドは斑目の敵対者ラロのチームで出てきます。対立は必然です。
それでこのフロイド・リーという男、どうしても独特で、つい深掘りしたくなっちゃうんですよね……。

まず嘘喰いは、斑目(と梶くん)が主人公なんですが、彼らはギャンブルを取り仕切る組織・倶楽部賭郎と深く関わり合ってます。賭郎には「会員」(ギャンブルをする人)と「立会人」(ギャンブルを仕切る人)と、そのほか大勢(立会人を補佐する人たち等)が属しており、なんなら作中の主要登場人物は大半が賭郎所属なんじゃないか?ってくらい、賭郎関係者が出てきます。斑目と梶くんは会員の立場に当たります。ちなみに伽羅さんは(元)立会人です。
一方、ラロは賭郎の持つ巨大利権に目をつけた外部の人間です。乗っ取りを目論み、賭郎へのコンタクトを続けています。会員権を得たり、賭郎のボスに挑む権利を得ようと画策します(ボスに勝つと、次のボスになることができる)。
しかし、ラロが協力者としたフロイドは、賭郎にまつわる情報を欲しはするものの、賭郎内部に食い込むことを目的とはしていないんですよ。彼は情報屋なので、賭郎が色々な秘密を持っていそうだと目をつけてはいたものの、特別ギャンブルに興味があったりするわけではなさそうなんですよね。
世界には色々な情報源がある中で、賭郎もその中の一つ。興味こそあれ執心して追うほどではない、という距離感が、作中ではなかなか稀なのではないかな?と思います。ラロの手引きで賭郎との窓口が開き、立会人相手に喜びを隠さない様子は大変かわいいです。
ちなみに情報だなんてふわっとした言い方しましたけど、国家機密とか何とかそういう陰謀めいたネタを集め、人の業を暴くことを悦びとする人間です。そして暴いたら用無しなので売っぱらってしまいます。どちらかというと陰謀屋さんですね。
そしてラロの協力者というわりには、ラロが束ねる組織(アイデアル)に所属しているわけではなく、あくまで外注さんの立場なわけです。また、作中での登場機会も、先述のタイマンと、物語終盤に賭郎から陰謀の暴露を依頼される(そして達成する)というスポット具合。
ウゥン、暴きたい……。
この情報の少なさこそが魅力だと思います。少ないけれど、たとえばどんな生き方をしているのかとか、価値判断の基準は何かとか、そういった人間性の芯になる部分は明らかになっているので、隙間を埋めていけばフロイド・リーという人間を解き明かせるのではないか?と思ってしまって、ついズルズルと彼について考えて続けているという状態です。
いや、実際情報はめちゃくちゃ少ないですよ。名前はおそらく偽名だし、生まれ育ちはおろか、ラロ以外との人間関係は出てこないし。ただそんなことは問題じゃないんですよね。彼がどう生きるのか、それが知りたいだけなので。過去も未来も余人も影響し得ない、彼の真ん中を見たいんですよ。それが錯覚であれ、見えそうだと思えてしまう、その隙のようなものに飛びついてしまうオタクの業です。暗闇の中でうっすら開いている押し入れは怖いけれどのぞいてしまうので。

そんなフロイドは梶くんとゲームした結果、敗北し、そこで何か気づきを得るんですよね。どんな気づきかというのは、ここでサックリ述べてしまうのはあまりに勿体無いので、本なり何なりに組み込みたいなと思っているのですが。
価値観のスイッチを捻ることになったとか、梶くんの中に自分が選ばなかった道を見たとか、そういうイメージでいます。
そんなわけで、フロイドは梶くんをどうやら特別に思っているみたいだぞ、ということがわかっているので、その特別感を表現するために当方では梶フロという表記を用いています。

梶くんも斑目に振り回されて随分男前になりましたし、フロイドに負けない精神力というか、強さを手に入れているので、太刀打ちできると思うんですよ。
フロイドと戦ったことでまたひとつ別の強さも手に入れたようですし。梶くんが得たものも随分大きかったのではないかな?と思うのは贔屓目でしょうか。
何にせよ、世間擦れしてるくせに浮世離れしたおじさんは、さっさと地面に引き摺り下ろしてボコボコにしてやらなきゃな………。
フロイドは陰謀を暴くために梶くんに協力してほしいと言ってるんですけど、なんか、私は疑ってますよ…本当に梶くんじゃなきゃダメだったのか…?と…。利用できる日本人だったら、誰でも良かったのでは…?と……。
特別な存在だと思っていることと、駒として利用することは両立できると思うんですよね。ネサラも大事な存在であるはずのリュシオンを一度売り飛ばして、料金受け取ってから奪い返してボロ儲けしようとしてますし。
そんな疑いの中で梶くんにはフロイドのどうしても顧みさせられてしまう胸の内の棘として生き抜いてもらいたいなあと考えています。これは私の願望です。

あーあ、雑魚ちゃん、自分のあり方を自覚して金儲けにつなげる意地のある男、大好きなんだろうな(他人事)。
自分と社会の折り合いをつけるのが妙にうまい男、好きなんだよなあ。でも身近なひとりの男とだけは折り合いをつけられないどうしようもなさが、もっと好きなんだよね。

と、いうことで、春コミでは鷹鴉に加えて梶フロのご挨拶が本になります。どちらも全年齢です。何卒よしなに。

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