お……終わってしまった
千秋楽ディレイ配信を2周ほどして今この文字を打っています。

2/18〜2/27まで10日間(うち1日は休演日)で14公演。
うち12公演現地で観てました。
前売りでは初日、千秋楽、+1公演の3枚しかチケットとってなかったんですが、初日を見てからどんどんチケット買い足しました。

つまりそれが能うほどの出来栄えの舞台だったということなのですけど。

初日を見るまでは正直めちゃくちゃ不安が大きくて、なぜかというとCMが…その……CMがね。

いや……あの、ほんとに。
あの、同じ気持ちですよ
なぜ? っていう。

演者は本当に何一つ悪くないと思うんですよ。このCMに関しては。
こういう宣材撮るのはおそらく稽古前だし、脚本も出来上がってないだろうし。ビジュアルイメージ先行で始まっていつであろうことは想像に難くないので。
稽古が始まって数日目に競技カバディのプロ選手を招いて指導を仰いだところ、カバディというスポーツについての理解が深まって演者たちの動きが格段に良くなったとは演出の人間も認めていたように、この動画をとった時には(おそらく)全く掴めてないんですよね。
そうすると静止画ならまだしも動画になるとかなり、こう、しんどい部分あるな〜とか。
あとそれは横に置いておいてもその、なんか、エフェクトというか…処理が…あの……。
その………。
……ていうかそっちの方が大きいと思う。ネガティブイメージの要因としての破壊力は。

他の登場キャラクターのビジュアルについても気になる点はやっぱりあって、原作では結構肉体自慢のキャラが多く登場するにも関わらず、(これは偏見かもなので誤りも含むかもしれませんが)いわゆる2.5次元の舞台ってシュッとした体型のキャラクターがメインになってる認識があって、主要な演者の体格もやはりそういうものに向いた形をしているな? という感覚がありました。
だけどあの、以前のブログにも書いている通り、歩は巨乳なんだよ……!!!
乳だけじゃない、全体的にデカさ、ゴツさ、強さ、その象徴のようなキャラクター(だと私は思っている)なので、並の肉体でどう戦えるだろうか?みたいな不安でかなり気を揉んでしまい……。

そもそも私は2.5次元舞台の鑑賞経験がほぼ皆無(二次元原作の舞台は宝塚のベルばらとか戦国BASARAとかポーの一族とか観てはいるのですが…)なので演者についても舞台というものについても全く知識もないし想像も及ばず、ただ外見の情報だけでまんじりともしない夜を過ごすなどしていたのでした。

体目当ての最悪オタクだということがよくわかりますね。

そんな不安、恐怖、怯えた気持ちで迎えた初日だったわけです。
ここまで前置きです。

初日、演技の面ではやはりまだ荒い部分あったかと思いつつ、脚本の方で原作1-3巻の範囲を綺麗に再構成されたなというのをまず強く感じました。原作では別の日の出来事を同日の同イベントにまとめることで(原作が示した結果とは得られるものは異なってくるのですが)流れの整理に役立てたり、また10巻以降のセリフを持ってくることでキャラクター性の詳細を示す試みなど、原作からの取捨選択はかなり巧みだった印象です。
オタクは自分の好きなとこだけ読み返すので、最近は13巻ばかり読んでしまうのですが、久々にまた序盤を読み返すなどして原作がもともと持っていたよさと舞台が提示した可能性、我々がそこから受け取り得ること等々あらためて考えることができたのも楽しかったです。

脚本の大筋、構成そのものは初日から千秋楽まで通して変化することはないですが、演じ方は毎日変化があって、演者側の役への理解や感情の表出表現の変化、そのあたりを受け取って、私の方も原作の読み取り方の選択肢が増えたように思いました。
回を重ねるごとに余裕のようなものが見られるようになって、体の動かし方や、間の取り方、初日にはなかったセリフが挟まれるようになったり、感情のやりとりによって絞り出される言葉の試行錯誤が見て取れるなど、舞台上の変化がかなり前向きで、より良い方向に進もうという意志を見たような気がして、これが鑑賞の楽しみなのかな?という気づきを得ました。
(宝塚を見るときは、基本的に1演目で1公演しか見ない/見れないことと、完成形を見ている意識でいるため、そういった楽しみ方をしたことはありませんでした)
上述の初日&千秋楽配信の両方を見るだけで差異はいくらもあるのですが、残り4公演というタイミングで突然追加されたアクションなんかもあって、最後の最後まで「意志」の強い舞台だったのではないかなと思いました。
もちろんただ意志があればいいというわけではなく、原作とそれを昇華した脚本、演出、舞台効果といった骨子がしっかりしていたからこそ、それを土台に「意志」によってさまざまなものを乗せていくことができたということだと理解しています。その骨組みの確かさによって私もチケットの追加手配を決めた部分が大いにあるので。

とはいえこういった舞台を観るのは本当に初めてだったので、初回は文法が掴めず、戸惑った部分も大いにありました。やっぱね、急に歌い踊られるとびっくりするので……。
メタネタとかもどこまで許容するか/できるかとか、迷いどころは結構ありましたね。
翌日の2回目鑑賞を決めたのはこの辺の確認がしたかったのもあるのですが、そこで理解がかなり進んだので3回目以降は純粋に舞台を楽しむことができたと思います。

幕が上がって一番最初(そもそも物理的な幕が存在しないこともかなり衝撃だった)、歩と王城が2人で礼をするとこでまず「漫才でも始まるのか…?」みたいな困惑をしてしまい、そのままカバディのミニゲームが始まるという構成、今はもう慣れたので毎回即興で繰り広げられるゲームの結果で大喜びできるのですが、なかなか鑑賞難易度が高かったかな…という気がしつつ、あってよかったと思います。
キャラクターと演者の割合が半々くらいな感じでやってるようなので、「あれは歩じゃないのですが…」みたいな前置きを心の中でしつつ、その発言、雄叫び、振る舞いで気持ちが…めちゃくちゃになっておりました。
歩じゃないのですが、負けて地面叩いて悔しがるとことか、勝手ガッツポーズして喜ぶとことか、何とかかんとかいろいろ、いろいろ……。
この辺は私の受け取り方の問題なので本当に難しいのですが、うまいことこう、いい塩梅を探したいところです。
舞台の上で出てくる役柄の振る舞いは演者側の解釈なので、思うことが出てきてしまうのは仕方ないことだと思ってます。けど、確かに向き合った結果だとも思うので、それはそれで…こう、その。あるとも思うんだよなあ……。
急にめんどくさオタクになるのやめたいな…(急じゃないよ、ずっとだよ)。

あと、攻撃手が客席側に顔を向けているとき、必然的に守備メンバーは客席側に尻を向けることになるため、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ尻が…その。しかも足を開きつつ重心を低めに落とすアクションになりがちなのでそれでさらに……あの……。
いや、あれはもう逆に尻見せに来てただろ!? 見ない方が失礼まである(認知の歪み)。

実際、演者の中にはバンプアップに努めて2ヶ月で+10kg乗せたような方もいたとのことなので、そういった熱量で作られたもの(尻だけではなく)が見られたのはひどく幸福なことだと思います。

こうやっていろいろな見方、楽しみ方を教えてくれた舞台だったのですが、最終日まで客席の埋まり方があまり芳しくなくて、正直めちゃくちゃヒヤヒヤしてました。
(チケットの売り方にも問題あったと思ってて、S席前方にギュッと客が詰まる、その後10列ほどS席エリアがぽっかり空席のまま続き、A席エリアに客がギュッと詰まってる形になってたので余計にわかりやすく人がいない状態になってしまっていた)
演者の方も終演後の挨拶でそのあたりを気にしているようなコメントをしたりしてたし、ちょっと胸が痛かったですね。
ただ、千秋楽はほぼほぼ全席埋まってたように見えました! よかったです、本当に。
各日公演後のリピートチケット(終演後に会場内で翌日以降のチケットを特典付きで販売してました、私はもっぱらここで追加チケットを買いました)も、日々購入者が多くなってるように見受けられましたし、何回も見たい舞台だった、何回も見れてよかった舞台だったなと思っています。
歩もどんどんデカく見えるようになってったしな…。幻覚…?

でもね、思うんですよ。やっぱCMが良くなかっただろって……。
それともなんですかね、ああいうCM、スタンダードですか?
次回はそこんとこ本当にお願いしますよ。今回の映像いっぱい使ってね。

さも当然のように「次回」とか言いましたけど、次回ありますかね?
主人公の演者は「是非やりたい!」と力強いお言葉をくれましたし、私も期待しています。

というわけで、いろいろ大変なこともあったでしょうが、初日から千秋楽まで全て事故やトラブルなく完遂できたのは本当によかったと思います。
演者、スタッフ各位のこれからの活躍に期待しつつ、コンテンツの今後の動向を見守っていきたいです。