当サイトトップページのオフライン情報を更新しました。
春コミ情報のアップデートと、なぜか抜け漏れていたスクネサ既刊の追加です。
前回記事でご紹介した鷹鴉新刊と、我慢できずにしたためてしまった嘘喰い/梶フロ小説(未完)です。小説はこのサイトで色々書いているわりには紙媒体に落としたことがなかったので、やってみることにしました。
「悪い男(準備号)」A5サイズ28ページ300円になります。
ご興味があれば、どうぞ。
とは言え、前回の嘘喰い本が伽羅貘だったところを、梶フロとは突然どうした?感が否めないと思います。ただし突然どうにかなるのは大変得意なのでご容赦ください。
梶フロは、嘘喰いに登場する梶隆臣とフロイド・リーのCPです。2人は色々あって34巻でタイマン張ることになってます。まずはそういう接点です。タイマンといっても、前に書いている通り、嘘喰いはギャンブル漫画なので、勝負の内容はギャンブルです。まあ日本刀振りかざしたり拳銃奪いあったりする命張ったゲームなんですけど…。
梶くんは斑目の仲間で、斑目のチームメンバーとしてゲームに参加してます。一方フロイドは斑目の敵対者ラロのチームで出てきます。対立は必然です。
それでこのフロイド・リーという男、どうしても独特で、つい深掘りしたくなっちゃうんですよね……。
まず嘘喰いは、斑目(と梶くん)が主人公なんですが、彼らはギャンブルを取り仕切る組織・倶楽部賭郎と深く関わり合ってます。賭郎には「会員」(ギャンブルをする人)と「立会人」(ギャンブルを仕切る人)と、そのほか大勢(立会人を補佐する人たち等)が属しており、なんなら作中の主要登場人物は大半が賭郎所属なんじゃないか?ってくらい、賭郎関係者が出てきます。斑目と梶くんは会員の立場に当たります。ちなみに伽羅さんは(元)立会人です。
一方、ラロは賭郎の持つ巨大利権に目をつけた外部の人間です。乗っ取りを目論み、賭郎へのコンタクトを続けています。会員権を得たり、賭郎のボスに挑む権利を得ようと画策します(ボスに勝つと、次のボスになることができる)。
しかし、ラロが協力者としたフロイドは、賭郎にまつわる情報を欲しはするものの、賭郎内部に食い込むことを目的とはしていないんですよ。彼は情報屋なので、賭郎が色々な秘密を持っていそうだと目をつけてはいたものの、特別ギャンブルに興味があったりするわけではなさそうなんですよね。
世界には色々な情報源がある中で、賭郎もその中の一つ。興味こそあれ執心して追うほどではない、という距離感が、作中ではなかなか稀なのではないかな?と思います。ラロの手引きで賭郎との窓口が開き、立会人相手に喜びを隠さない様子は大変かわいいです。
ちなみに情報だなんてふわっとした言い方しましたけど、国家機密とか何とかそういう陰謀めいたネタを集め、人の業を暴くことを悦びとする人間です。そして暴いたら用無しなので売っぱらってしまいます。どちらかというと陰謀屋さんですね。
そしてラロの協力者というわりには、ラロが束ねる組織(アイデアル)に所属しているわけではなく、あくまで外注さんの立場なわけです。また、作中での登場機会も、先述のタイマンと、物語終盤に賭郎から陰謀の暴露を依頼される(そして達成する)というスポット具合。
ウゥン、暴きたい……。
この情報の少なさこそが魅力だと思います。少ないけれど、たとえばどんな生き方をしているのかとか、価値判断の基準は何かとか、そういった人間性の芯になる部分は明らかになっているので、隙間を埋めていけばフロイド・リーという人間を解き明かせるのではないか?と思ってしまって、ついズルズルと彼について考えて続けているという状態です。
いや、実際情報はめちゃくちゃ少ないですよ。名前はおそらく偽名だし、生まれ育ちはおろか、ラロ以外との人間関係は出てこないし。ただそんなことは問題じゃないんですよね。彼がどう生きるのか、それが知りたいだけなので。過去も未来も余人も影響し得ない、彼の真ん中を見たいんですよ。それが錯覚であれ、見えそうだと思えてしまう、その隙のようなものに飛びついてしまうオタクの業です。暗闇の中でうっすら開いている押し入れは怖いけれどのぞいてしまうので。
そんなフロイドは梶くんとゲームした結果、敗北し、そこで何か気づきを得るんですよね。どんな気づきかというのは、ここでサックリ述べてしまうのはあまりに勿体無いので、本なり何なりに組み込みたいなと思っているのですが。
価値観のスイッチを捻ることになったとか、梶くんの中に自分が選ばなかった道を見たとか、そういうイメージでいます。
そんなわけで、フロイドは梶くんをどうやら特別に思っているみたいだぞ、ということがわかっているので、その特別感を表現するために当方では梶フロという表記を用いています。
梶くんも斑目に振り回されて随分男前になりましたし、フロイドに負けない精神力というか、強さを手に入れているので、太刀打ちできると思うんですよ。
フロイドと戦ったことでまたひとつ別の強さも手に入れたようですし。梶くんが得たものも随分大きかったのではないかな?と思うのは贔屓目でしょうか。
何にせよ、世間擦れしてるくせに浮世離れしたおじさんは、さっさと地面に引き摺り下ろしてボコボコにしてやらなきゃな………。
フロイドは陰謀を暴くために梶くんに協力してほしいと言ってるんですけど、なんか、私は疑ってますよ…本当に梶くんじゃなきゃダメだったのか…?と…。利用できる日本人だったら、誰でも良かったのでは…?と……。
特別な存在だと思っていることと、駒として利用することは両立できると思うんですよね。ネサラも大事な存在であるはずのリュシオンを一度売り飛ばして、料金受け取ってから奪い返してボロ儲けしようとしてますし。
そんな疑いの中で梶くんにはフロイドのどうしても顧みさせられてしまう胸の内の棘として生き抜いてもらいたいなあと考えています。これは私の願望です。
あーあ、雑魚ちゃん、自分のあり方を自覚して金儲けにつなげる意地のある男、大好きなんだろうな(他人事)。
自分と社会の折り合いをつけるのが妙にうまい男、好きなんだよなあ。でも身近なひとりの男とだけは折り合いをつけられないどうしようもなさが、もっと好きなんだよね。
と、いうことで、春コミでは鷹鴉に加えて梶フロのご挨拶が本になります。どちらも全年齢です。何卒よしなに。