前回のブログでアイシールド21の高見伊知郎がアツイ旨だけお伝えしたかと思うんですけど、9/14が誕生日だったようなので、この機にその話をします。

高見伊知郎は王城高校アメフト部「ホワイトナイツ」の主将です。2巻の表紙にもいるくらい、かなり序盤から登場しているキャラの1人です。
彼のアメフト歴は長く、小学校のタッチフット(アメフト簡易版)から始まり、中高一貫の王城学園で高校3年生に至るまでQBのポジションを務めてきました。彼の作中での評価は「基本に忠実、ミスが少ない」に集約されるでしょう。

そんな経験豊富な選手である彼の最も大きな弱点は、足が遅いこと。
作中では、足の速さは40ヤード走のタイムを指針として語られており、アイシ2話では「普通の奴なら5秒台」と言われています。短距離走競技者であれば5秒を切るとも。また、足が速い設定である主人公・小早川瀬奈は物語序盤時点でも4秒2で40ヤード(約36.6m)を駆け抜けました。
そんな世界で、高見のタイムは6秒04。鈍足と呼ばれてしまうのもやむなしの数値でした。
ホワイトナイツの監督・庄司軍平(通称ショーグン)は、引き続きQBを志す高見に対し、現代アメフトで求められるQBの役割は投げるだけではなく、状況次第で移動したり、走ったりすることも含まれると述べ、そしてはっきりと「お前の脚では無理だ」と告げるのです。
ショーグンの言葉に涙を飲んだ高見でしたが、それでも諦めることなく練習を重ね、結果足の速さは克服できなかったものの、パスの正確さとチームの司令塔に足る頭脳、そしてもう一つの武器を手に、高校1年生でとうとう正QBとして抜擢されるのでした。

高見が手にした最大の武器。それは身長でした。
194cmの高身長。そのさらに伸ばした腕から放たれるパスは、フィールドで闘う選手たちのはるか頭上を抜けていきます。
この長身はショーグンも高く評価しており、強い期待を寄せます。

しかし、当然のことながらパスは投手1人では成立しません。
高見は捕手の到来を待ち望みました。「高さを生かせる相棒」を。
選手時代のショーグンは最後の試合を1点差で敗北しており、プレイ失敗の原因にQB(投手)とWR(捕手)の身長不足を挙げて今でも悔いを残しています。そのため、ホワイトナイツの全国制覇を見据えて高見と望みを同じくするのでした。

そんな彼らの前に現れたのが、桜庭春人でした。
桜庭は高見の1年後輩で、中等部入学当初で175cmあったその長身を買われてホワイトナイツに入部します。クラスで出席番号が前後であったために行動を共にしていた進清十郎も、同時に入部しました。
桜庭はもともとテレビでスポーツを見るのが好きな少年で、アメフト経験は皆無。ショーグンの厳しい指導に耐えかねてゲロ吐いて倒れたり、脱走を試みたり、サボったりとあまり芳しくありません。一方、同じくアメフト初心者だった進はメキメキと力をつけ、やがて誰しもに認められる選手となっていきます。
結果も出せず、同時入部の進にも大きく差をつけられ、失意に陥った桜庭は、中3の夏にそのルックスと長身を見染められ、街頭でモデルのスカウトを受けます。
芸能人になった桜庭は、やがて写真集を出したり、キャンペーンモデルに起用されテレビCMに出るなどの活躍を重ね、若い女性ファンを多く獲得していきました。それでも桜庭はホワイトナイツの退部はせず二足の草鞋を履くことを選び、その結果ホワイトナイツの試合にまで桜庭ファンたちが押し寄せるようになるのでした。

さて、作中時間で高見は高校3年生。桜庭も高校2年生へと上がります。身長は186cmまで伸びました。
無論桜庭はこの時点ではホワイトナイツの主要戦力としては数えられていません。レシーバーの1人です。しかしファンの人気は高く、アメフトをよく理解していない彼らは桜庭をホワイトナイツのエースと称えます。
同学年の進は高校最強と謳われ、アメフト界全体から高い評価を受けています。進こそがホワイトナイツのエースであることは、関係者からすれば誰の目から見ても明らかでした。
桜庭は偽りの評価を倦み、無力感に苛まれながら進への劣等感を強めます。
天才の進と凡人の自分。アメフトを始めた時期は同じなのに、差は開いていく一方で。

そんな中、試合中の事故が原因で桜庭は骨を折り入院してしまいます。
同じ病室に入っていた小学6年生・虎吉はタッチフット選手で、アメフトにも詳しい様子。最近レギュラーになり、彼の小学校生活で最初で最後の試合が近いと張り切っています。
虎吉は先の試合での桜庭を見ており、高見と桜庭が見せた高いパスキャッチに感動したと言います。今はチビでも大きくなって身長伸ばして、桜庭のような選手になりたい!と。
しかし桜庭にとってはあのキャッチは偶然であり、他の試合成績などを勘案すれば、自分は虎吉が憧れる「ヒーロー」という評価に値するとは到底考えられないのでした。
期待しすぎだ。買いかぶるのはやめてほしい。
誰にも言えない、桜庭の本音でした。

それでも虎吉は「あのキャッチに感動した」と言います。それ以外がどうでも構わない、と。
虎吉の熱い意志と人懐こさは桜庭の頑なだった心も和らげ、入院生活を通じて2人は交流を深めていきました。
虎吉のもとに担当医が現れ、交通事故起因の怪我は虎吉の足を大きく損ねており、歩くまでのリハビリにも1-2年を要することを告げます。
小学生活6年間を捧げたタッチフットでようやく勝ち取ったレギュラーの座。最後の試合に出られない。
虎吉は、この6年間なんのために頑張ってきたんだと涙を流します。
それを見た桜庭は、必ず強くなる、虎吉が感動したあのキャッチを偶然じゃなくして見せると決意を固めるのでした。

夏になり、ホワイトナイツのメンバーは毎年恒例の富士山麓で合宿に入ります。
復帰した桜庭もこれに参加。合宿所での厳しい練習に身を投じます。
一方、進はショーグンから富士山中での特別メニューを言い渡され、これに励みます。しかし機械音痴の進はショーグンから手渡されたGPSを初手で破壊してしまい、あっさりと遭難状態に陥ってしまいます。
既定の時間に下山してこない進の捜索に乗り出した高見や桜庭、王城主要メンバーは、山中で進がとある人物と顔を合わせているのに出くわしました。
そこで桜庭は、進が認める好敵手の存在を知り、天才・進の目指す先を知ることになったのです。
天才にも目指す先がある。頂点はまだ遠い。
思い知った桜庭は、改めて進を追うことを誓い、自分も同じ特別メニューに挑むことを決めたのでした。

桜庭はその鬼気迫るトレーニングによって、40ヤード走は5秒を切り、ベンチプレスも春時点では50kgだったものが70kgをクリアするなど、成果が現れます。
ショーグンが高見に「待った甲斐があったな」と声をかけるなど、レシーバーとしての桜庭にようやく光が当たりはじめていました。

しかし、桜庭本人はこの成果に満足できずにいます。
桜庭が自分自身を認めるためにも乗り越えなければならない天才たちがいる。
それなのに、他チーム天才レシーバーの40ヤードバック走記録4秒89にも及ばない走力(敵レシーバーのバック走と競ってパス妨害をしなければいけない)と、ベンチプレスは進の記録140kgのようやく半分の腕力と。
エースと呼ばれるものに、なれるものならなりたかった。
テレビで様々なスポーツを見ていた子供の時から憧れていた。
だけど凡人の自分では、その限界に挑んだところで彼ら天才の背中も見えないと思い知ってしまった。
桜庭は宥める高見に対して「5年間無駄にした」「何の意味もなかった」と暴言を吐いてしまいます。
高身長レシーバーの大成を待った高見に対して。

そんなやさぐれた桜庭に対し、高見は思わず手をあげます。割とガチのグーパンが顔面にヒットします。モデルの商売道具に一切容赦がありません。
他チームメイトの練習を背景に放心している桜庭は、芸能事務所によって拐われてしまいます。
車中でこのまま離れてしまってもいいのかもとの思いが頭をよぎりますが、虎吉に託されたリストバンドを握りしめて車から飛び降り、合宿所に駆け戻ります。
そこで進のジョギングと行き合います。
桜庭は耐えきれず、叫びます。
「諦められない」「進に勝ちたい」「俺も一流になりたい」
桜庭は自分が凡人であると認めています。それでも天才に勝ちたい。どうしたらいいのか、進に問うても答えはありません。
合宿所内ではショーグンと高見らの会話が耳に入ってきます。
凡才、鈍足のQBが一流の世界で戦うために必要だったもの。
彼らが待っていた6年間の願い。
それを聞いて、桜庭は自分の発言を悔いるのでした。

結局ホワイトナイツメンバー全員が山中トレーニングに移行。
桜庭は芸能事務所に辞表を提出したことを高見に伝えます。
到達した富士山頂で、高見は桜庭にボールを投げます。
頭上でキャッチした桜庭に、高見は「今のは日本で一番高いパスだ」と笑い、誰にも止められないこのパスで天才たちに勝つのだと誓うのでした。

***

その後大会が始まり、2人はエベレストパスと名付けた高層パスで試合を勝ち抜いていきます。
数多の挫折を乗り越え心身ともに強く鍛えられた桜庭は、進と2人のエースと呼ばれ得るまでに歩を進めました。
大会の結果は求めたものではありませんでしたが、桜庭の胸には別の後悔が残り続けていました。
死ぬ気になるのが遅すぎた」と。
高見はすでに最終学年、タッグが組めたのはほんの数試合だった。
芸能活動はアメフトからの、己の凡才を認められない自分からの逃避でしかなかった。
もしあの時からずっと足掻き続けていたら……。

大会が終わるとU18のワールドカップが開催され、桜庭はレギュラーメンバーに抜擢され、高見は補欠として参加します。
その決勝で、高見は桜庭の後悔を看破し、最後のパスでそれに応えるのです。
俺の6年間は無駄じゃなかった」「人に遅すぎるなんてない
そうして放たれた高層での高速弾・ツインタワーアローは絶望的な流れだった試合の中で日本チームに得点をもたらしました。

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初登場2巻の男を最終37巻まで追いかけてしまったのでボリュームがえらいことになってしまいましたが、高見伊知郎がどういう男なのか、お分かりいただけましたでしょうか。
どういう男なのかと言っても人格・性格面の話が少なかったので補足しますが、彼は黒髪オールバックメガネの外見からして頭脳派タイプで、作中屈指の戦略家と認められる蛭魔妖一とタメを張れる数少ない人物の1人です。
人柄も日常生活では穏やかな常識人といった印象が強く、虎吉には「高ピョン」と呼ばれて親しまれてます。
後輩をガッツリ殴り飛ばしてますがあれはイレギュラーで、「高見さんが手ェあげるなんて…」と驚かれてるくらいです。

高見伊知郎の話をしますと銘打っておきながら途中別の男の話がかなり混入していますが、彼なしに高見は輝けなかったことの証左であります。
桜庭が持ち続けてきた問い、凡人が天才に勝つにはどうしたらいいのか、その答えのひとつに早くからたどり着いてきた凡人の1人でした。

高見は高校卒業後は医学部に進学し、外科医を目指しながらもアメフトを続ける選択をします。この先の彼を待つのも、これまで同様の足掻き続ける人生なのかもしれませんが、彼の意思がそこにあるのなら乗り越えられるものだと私は信じています。

アイシールド21は待ち続け足掻くことが報われる物語でもあり、高見と桜庭コンビ以外にも待ち続けた、待たれてきた、待たせてきた男たちが多数登場するので、いつかその話もできたらいいなあと思います。

先日、5/31はアイシールド21に登場する金剛兄弟の誕生日でした。
そこでTwitterにはちょっとした漫画を載せました。

これを描くにあたって原作の兄弟のあたりを読み返したことで、種々の感情がフツフツと湧き上がってしまったので今回ブログにしてしまおうと思った次第です。

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金剛雲水(兄)と金剛阿含(弟)は神龍寺学院アメフト部に所属する双子の兄弟。
兄は禁欲的でストイック、一方の弟はそれとは真逆で己の欲望に忠実、女性関係も奔放で、暴力沙汰もしばしば。
神龍寺学院は仏教系の団体を母体とした神奈川有数の名門校として描かれ、入試難易度も極めて高いとされる一方で、アメフト部も創部以来無敗で関東大会を制覇し続けてきた強豪チームとして登場します。
では、同じ日に生まれ、一卵性双生児ゆえの同じ顔を持ち、同じ高校で同じチームに所属した2人は、同じものを手に入れてきたのでしょうか?

答えは否でした。

「阿含 俺がお前を最強にする」 (21巻185話より)

幼少の頃からずっと、雲水は阿含の活躍の陰に隠され続けていました。
阿含はあらゆることを雲水よりも先に習得し、またあらゆることをトップレベルでこなしてゆきました。
雲水はトレーニングを積み、努力を重ねてきましたが、阿含は天才であり雲水は凡才であるという周囲の評価が覆ることはついぞありませんでした。
神龍寺学院への入学についてもそうです。
阿含はスポーツ推薦に飛び込みで合格し、雲水は一般入試受験でその背中を追います。
阿含を最強の選手にするために。

雲水は阿含を信じています。
阿含が最強だと。
それが真実である限り、己の無力も敗北さえも報われると考えている。

一方で阿含は雲水の思惑を分かった上で、顧みる素振りを見せず奔放な振る舞いを続けます。
神に愛された男。100年に一度の天才。
だからこそ許される振る舞いを。
人を馬鹿にしたような態度も、練習やミーティングに参加しないことも、試合に遅刻してくることも、飲酒に喫煙、不純異性交友さえ、成果主義を盾にして全てが許されてしまいます。
それが阿含にとって幸いだったかはともかくとして。
雲水が阿含の素行不良のフォローに努める描写はありますが、当の阿含は全く気に留めません。

個人的には、そもそも雲水がどこまで本気で阿含の振る舞いを阻止しようとしていたのか疑わしいと思っています。
雲水にとって阿含の才能は絶対的なものであり、その素行は才能の輝きを損ない得ないことを、これまでの経験上身に染みて知っているはずだからです。

そんなある意味で屈折した感情を抱えた2人にも、やがて転機が訪れます。
関東大会での敗北です。
それも、阿含が特に凡才だと見下し、嘲ってきたチームに対して。

そもそもアイシールド21では天才と凡才、才能と努力の対比が常に描かれ続けており、神龍寺以前にも様々な形で語られてきていました。
努力は尊いものとして描かれ、努力する天才という存在が作中でも評価高く、また主人公のライバルとしても設定されてきていました。

その上で、初めての敗北を経た阿含は、物事に本気で取り組むことへの意欲を見せます。
スイッチの入った阿含に、より強くなる予感を感じた雲水は期待を抱きますが、自分の問題とも向き合わざるを得なくなります。
つまり、凡才は本当に天才に勝つことが不可能なのか?
挑むことさえ忌避してきた己の行いは、過ちではなかったのか?
関東大会中にも雲水は様々な天才と凡才たちの戦いを見てきました。
凡人の限界を受け入れ、天才を支え活かす道を選んだ自分とは異なる選択をした凡才たち。
決して折れることのない野心をもち、もがく凡才を。
雲水はそれを「泣きたいほどに羨ましい」と述べるに至ります。

その後、彼らを取り巻く高校アメフト界では国際大会が企画され、日本でも選抜チームが組織されます。
そこでも阿含は選ばれ、雲水は選ばれない。
雲水はそもそも選抜試験に参加さえしておらず、選ばれる土俵にすら昇っていない状態でした。
そして、会場で大会を観戦しながら、阿含をはじめとする才あるものたちや、自分と似た境遇を持つはずの凡才たちの戦いを見ながら、なぜ自分はこんなところで見ているだけなのかと涙を流して深く悔い入ります。

また、その過程で阿含から雲水への評価が明かされます。もしも雲水が自分自身のためにもがける凡才であったなら、どれだけ楽だっただろうかと。
自分の野心に蓋をして、希望も抱けず、全力を尽くし切ることもしなかった雲水の選択を、阿含は不服に思っているのでした。

原作最終話では、主要人物たちの高校卒業後の姿が示されます。
金剛兄弟は共に大学進学の道を選びましたが、入学先は異なる大学でした。
雲水の選択は、阿含とは別のチームに加入し、一選手として阿含を倒すことを決意したからだと語られています。
雲水は阿含への期待、阿含を通した勝利への執着と決別し、自分の足で立つことを知ったのでした。

***

金剛雲水、とんでもない男だとしか言えないです。
阿含は作中でもその才と暴力性によって化物じみた扱いを受けていますが、その影で阿含を立てる雲水の姿も等しく化け物なのではないでしょうか?
化物を隠蓑に暗躍する化物の構図として読解を試みると、阿含より雲水の方が余程凶悪なのではないか?と思う次第です。
阿含が凡人たちを蔑ろにする描写が多々ある中で、凡人であるはずの雲水に対してはそれらとは一線を画していると思います。もし雲水がもがける凡人であったなら、阿含はきっと雲水のことも他の凡人と同じように扱うことができて、それはきっと阿含にとっても楽だったのではないでしょうか。
達観し、弁えたポーズをとり、己を殺し自分に尽くして見せる兄の姿が弟の胸中に与えた影響はどのようなものだったのでしょう。
作中で描かれた多くの天才たちは「自分に立ち向かう凡人」というライバルを手にしていましたが、阿含には与えられなかった。
蛭魔妖一は阿含が無視できなかった凡人ではありますが、蛭魔が阿含に立ち向かうことになるのはずいぶん後になってからのことです。

阿含は「わからない」と言います。「死んでもトップを獲りにもがくのが面白い」ことをわからないと。
雲水や、周囲の人間は阿含がトップでいることを当然のことだと考えている。そうでなければ報われないのだと押し付けられた頂点に君臨し続けた阿含にとってその地位はどんな意味を持っていたのでしょう。
雲水が自分自身を諦めの中に置いていたときに、阿含は雲水を諦めから引きずり上げる術を持ちませんでした。
雲水を上向かせたのは、彼と同じ立場の凡人たちでした。

阿含は自分の存在が雲水の心を傷つけてきたことに自覚的だったと思います。
本来阿含が見出されていたスポーツ留学の案内が、雲水に届いてしまったことで兄弟の関係性の歪みが決定的なものになります。
お互いに比べられることから逃れられない兄弟という関係。苗字が同じ、年齢が同じ、顔が同じ……。
雲水が自分を守るために身につけた歪な達観もまた、阿含の傍若無人な振る舞い同様、誰にも顧みられることなく受け入れられてしまった。
そこに至って、兄弟にとってはどちらの無関心も不幸なことだったのだろうなと思わざるを得ません。

関わってきた様々な人たちの行いによって、自制的に兄弟は変わっていきました。諦観に蓋され続けた意地や嫉妬、がんじがらめの執着から解放され、あるいはその存在を受け入れた2人の変化が、幸いなものであればいいなと思っています。